ビットコインの市場動向|要点は「トランプ大統領・BitMEX・FCA禁止令・窓埋め」

ビットコインの市場動向|トランプ大統領が金融市場を掌握

米国のドナルド・トランプ大統領は、これまで数々の米国経済に対する施策や発言を行ってきたが、過去1週間の一連の動向は金融市場に大きな影響を与え、それはビットコインをはじめとする仮想通貨市場にまで影響を与えている。

トランプ大統領は6日、追加の景気対策パッケージに関して、民主党指導部との協議を11月の大統領選挙後まで停止するよう交渉担当者に伝えたとTwitter上で明らかにした。これにより株式市場の価格は反転し、S&P500種株式指数の終値は前日比1.4%安となり、ビットコイン価格も前日の最高値から約2%安となっている状況だ。

TradingViewより画像引用

しかし最近のビットコインを含む仮想通貨市場の後退は、トランプ大統領の発言だけではない。主な要因として、以下のFODが要因として取り上げられている。

  • トランプ大統領による追加景気対策の中止
  • CFTCによるBitMEXの逮捕騒動
  • 英金融当局「FCA」の個人投資家に対する仮想通貨デリバティブの禁止

トランプ大統領の追加景気対策を一時停止

トランプ大統領の発言によって、仮想通貨市場全体が下落し、ビットコインの時価総額は2.1%減、70億ドル下落している。またXRP価格も4%減、BNBは4.4%減、Polkadotは6.4%減、Chainlinkは6.5%減という状況だ。

また、ビットコイン市場の値動きとして、CME(米シカゴ・マーカンタイル取引所)の「窓埋め」も一つの要因ではないかとされている。実際に、先週の金曜日に生じた「窓」を埋める動きがチャートでも確認できる。

仮想通貨取引所OKExのレポートによると、ビットコインの下落要因として考えられるのは、株式や貴金属、さらには仮想通貨に至るまで、全ての金融関連市場がここ数週間で別の追加景気対策が可決されてから実施されるという期待に基づいて上昇したと考えられており、追加景気対策を一時停止したことは、ビットコインにとって「中期的な後退」を意味しているという。

しかしそれは、交渉が開始され、さらなる追加景気対策が成立することによって、ビットコインなどの金融市場が持続的な経済動向の恩恵を受けることが期待できるということだ。

CFTCによるBitMEXの逮捕騒動

前述したように、ビットコインの一連の価格下落は、トランプ大統領の発言のみではない。一連のビットコイン価格の下落のきっかけとなったのは、米商品先物取引委員会(CFTC)による世界最大のデリバティブ取引所BitMEXに対する訴訟だ。

CFTCは2日、米国において違法な活動をしたとして、同取引所に対してマネーロンダリングおよび、その他の民事訴訟を提起した。またニューヨーク州連邦検事が銀行秘密法に違反と陰謀を犯したとして、取引所の所有者であるアーサー・ヘイズ(Arthur Hayes)氏、ベン・デロ(Ben Delo)氏、サミュエル・リード(Samuel Reed)氏に対して刑事訴訟を起こしており、現在の進行中の問題だ。

既に連邦政府は、グレゴリー・ドワイアー(Gregory Dwyer)氏を逮捕し、銀行秘密法に違反した1件の罪と、銀行秘密法に違反したことを共謀した1件、計2件の罪で起訴している。このショッキングなニュースは、瞬く間に全世界の仮想通貨ユーザーへ広がり、BitMEXから大量の資金が引き出されている。

ブロックチェーン分析企業Glassnodeの最新報告によると、投資家などはCFTCの行動およびこのニュースを受け、合計で40,000BTCが同取引所から引き出されたことを報告しており、当時のビットコイン価格(1BTC=1,126,733円前後)から考えると、約450億円相当のビットコインが流出している。

BitMEXから4.2億ドル相当のビットコインが撤退

2020.10.05

英金融当局「FCA」の個人投資家に対する仮想通貨デリバティブの禁止

そして最後に、6日に発表された英国の金融監督機構であるFCA(Financial Conduct Authority)による禁止令の発表だ。FCAは、英国内で活動または、英国を拠点に活動する企業が、個人投資家への仮想通貨デリバティブ販売を禁止することを発表。

禁止令の施行は、2021年1月6日から対象になるものの、発表時点で市場は悲観的なムードが漂い、その直後のトランプ台帳量による発表が行われたため、ビットコイン価格に直接的な影響が出た。

今回の禁止対象には、先物やオプション取引、差金決済取引(CFD)のデリバティブ商品や上場投資証券(ETN)などが含まれている。FCAの戦略および暫定事務局長であるSheldonMills氏は、英国に投資家に対する現状について次のように述べている。

価格の大幅な変動は、クリプトアセットの信頼性の高い評価の難しさと相まって、個人投資家は仮想通貨デリバティブ取引で損失を被るリスクが高い。

英国FCA、個人投資家への仮想通貨デリバティブを禁止

2020.10.07

今後の動向と、米国の動き

米国政府の今回の動きについては、選挙活動のパフォーマンスであるとの意見も挙がっているが、追加景気対策が発表されない限り、市場が本当の回復へ向かうことは難しい。

またリップル社のクリス・ラーセン(Chris Larsen)元CEOも、米国の仮想通貨に関する規制環境が整わない場合は、自身の会社を米国外に移さなくてはいけないかもしれないことを示唆しており、米国の仮想通貨に対する規制体勢に不満が溜まっているようだ。