ストラティス(Stratis/STRAT)の特徴・詳細とは?

ストラティス(Stratis/STRAT)の特徴・詳細とは?|誰もが容易に扱えるブロックチェーンの提供を目指す

Stratis(ストラティス/STRAT)はイングランドにあるストラティスグループによって管理・運営されている仮想通貨です。

.NET(ドットネット)フレイムワークという環境でC#(シーシャープ)というプログラミング言語を使い、独自ブロックチェーン上で動くアプリケーションの開発を目的としています。
コンピューター上で特定の動作を起こさせる仕組みをプログラムといいます。仮想通貨もプログラムによって管理されているわけです。

プログラムは日本語や英語のような世間的に広く使われている言語で書かれているわけではありません。プログラミング言語という特別な言語で書かれています。
そのためプログラムを開発するためには、まず始めにプログラミング言語を覚えること、次にプログラミング言語を自分のイメージ通りに使いこなせるようになる必要があります。
ただしここに問題があります。プログラミング言語は複数存在し、異なるメリットやデメリットも言語ごとに異なっています。

例えばC言語は1972年に開発された歴史のあるプログラミング言語のひとつです。更にC言語にはC++やC#などの関係の近い言語も存在します。
しかしC言語・C++(シープラスプラス)・C#の特徴はそれぞれ異なっています。C言語とC++は互換性がありますが、C言語とC#は互換性はありません。

C#はC++とJavaという異なるプログラミング言語の特徴を併せ持つように新しく開発された言語です。そのためC言語やC++との互換性が失われましたが、広く普及しているプログラミング言語になります。

Stratis(ストラティス/STRAT)の最新価格・相場・チャート・評価


Stratis(ストラティス/STRAT)の特徴・詳細

ストラティスが目指しているのは使いやすいブロックチェーンです。
2019年3月現在、企業がブロックチェーンを使う事例が増えています。さまざまなブロックチェーンが登場し、アリババやIBMといった世界的企業もブロックチェーンの特許出願に乗り出しているほどです。

これほどブロックチェーンに関する競争が熾烈かしているのは、ブロックチェーンに将来性があると信じられているためです。
麻生太郎財務大臣も2019年3月に行われた予算委員会にて、将来大きく化ける可能性があると発言しました。

しかし社会全体にブロックチェーンに関する十分な知識が広まっているとも言えず、ブロックチェーンが本当に社会に変革をもたらすかは現状では不明です。
そこで企業はブロックチェーンとはどのようなものなのか、何が出来るのか、問題点はどこにあるのか確かめていく必要があります。

BaaSとは?

ストラティスはそのような企業に対して使いやすいブロックチェーンの提供を考えています。これをBaaS(Blockchain as a Service:バース)といいます。
同じくBaaSで略されているネットワーク用語にBackend as a Serviceというものもあります。こちらはクラウド上で情報を集積させるものです。
Backend as a ServiceとBlockchain as a Serviceは全く異なるものであるため注意しましょう。

BaaSと同じようなネットワーク用語としてIaaS(Infrastructure as a Service:イアースあるいはアイアース)、PaaS(Platform as a Service:パースあるいはパーズ)、SaaS(Software as a Service:サース)があります。

SaaSは必要な機能だけを取り出しソフトウェアの形でまとめたものです。実際にソフトウェアとして製品を出しているものもありますが、現在ではインターネットなどを介してサービスを提供することが増えています。
PaaSでは必要最低限のデータに加えてプラットフォームの提供も行っています。利用者の立場から見れば自分の環境に合わせてカスタマイズすることが可能です。
開発者側にとっては、ソフトウェア単位にまでデータの整理をする必要がなくなります。その手間を避けることが出来る分だけ価格を抑えることが出来るわけです。PaaSはSaaSの発展ともいわれています。
IaaSになると、提供するものはサーバーやネットワークなどシステムとして稼動させるために最低限のものだけに留まります。PaaSを更に発展させたものがIaaSです。

BaaSも基本的な考えはSaaS・PaaS・IaaSと同じです。ただし誰かが管理しているブロックチェーンの一部を使うのではなく、ブロックチェーン全体を借り受けることになります。
安全なブロックチェーンネットワークのためには、いくつものコンピューターから構成される必要があります。

既に安全性と信頼性の確立されたストラティスのブロックチェーンを使うことは、ゼロから新しくネットワークをつくりあげることに比べて大きな利点があるわけです。

ストラティスのブロックチェーン

ストラティスではブロックチェーンを提供するにあたり、2つ重要視しているところがあります。ひとつ目がプライバシーの保護です。
ブロックチェーンでは情報がオープンになるため、保護するべき情報さえも公開される危険性があるためです。そこでストラティスではプライベート型のブロックチェーンを作成しています。
ブロックチェーンはパブリック型・プライベート型・コンソーシアム型という3種類に分割されます。

パブリックブロックチェーンでは不特定多数の第三者がトランザクションの処理などに直接関わることが出来ます。
パブリックブロックチェーンの代表例はビットコインのブロックチェーンです。マイニングによりビットコインの運営や管理に関わっていない人がトランザクション処理を行うことが出来ます。
プライベートブロックチェーンでは不特定多数の第三者はトランザクション処理に関わることが出来ません。ただし処理されたトランザクションの確認は可能です。

リップルのブロックチェーンであるXRP Ledgerはプライベートブロックチェーンやコンソーシアムブロックチェーンの代表例になります。
ただしXRP Ledgerは不特定多数の第三者が関わることが出来ないため、ブロックチェーンではないという見解もあります。
プライベートブロックチェーンは単一の企業や団体によって管理され、コンソーシアムブロックチェーンは複数の企業や団体によって管理されているブロックチェーンです。

コンソーシアムブロックチェーンは貿易や運輸など複数の組織が関わっている時に使われます。運んでいる商品の状況を担当している組織がそれぞれブロックチェーンで管理するわけです。
ストラティスの提供するブロックチェーンは、3種類のブロックチェーンの中でもプライベートブロックチェーンになります。

Stratis(ストラティス/STRAT)の強み

ストラティスの提供するブロックチェーンは高い柔軟性を持っています。ここがストラティスの強みのひとつ目です。
例えばビットコインのブロックチェーンはトランザクション承認終了までに10分かかります。これは他の仮想通貨と比較すると遅い方です。リップルやダッシュなどでは5秒前後で終了します。
間違えの無いよう慎重にトランザクションの確認を行っているという意味では10分はメリットに繋がっているのかもしれません。しかしトランザクションの量が多いと処理が間に合わない危険性があります。

そこでストラティスの提供するブロックチェーンでは、ブロックサイズやブロック生成速度を自由に変更することができます。
慎重さとトランザクション量を測りにかけて各企業や団体は、自分たちに適したブロックサイズやブロック生成速度を決定できるわけです。

ストラティスの2つ目の強みはサイドチェーンを設定していることです。サイドチェーンとは仮想通貨のトランザクションとは別に処理するために意図的につくられたブロックチェーンの分岐になります。
ブロックチェーンは基本的には1本の鎖でできています。ですが通常稼働中でも複数に分岐することも少なくありません。分岐した場合は最も長いものが正しい分岐だという共通認識になっています。

しかし1本のブロックチェーンでは、処理できる速度が遅くなるという問題を抱えています。
特にブロックチェーン上で何らかのアプリケーションを起動させようとすると、取引・送金・決済などのトランザクション量が一気に膨れ上がります。
この増加したトランザクションを処理するために考え出されたのがサイドチェーンです。

サイドチェーン「Cirrus(シーラス)」

ブロックチェーンをあえて分岐させ、仮想通貨関連のブロックチェーン(メインチェーン)とアプリケーション関連のブロックチェーン(サイドチェーン)をつくりだします。
そしてメインチェーンとサイドチェーンで個別にトランザクションを処理し、処理速度を速めていくわけです。
リスク(Lisk)、リキッド(Liquid)、ルートストック(Rootstock)などの銘柄がサイドチェーンを採用しており、イーサリアムでもプラズマ(Plasma)というアップデート計画の中でサイドチェーンの検討を始めています。

ストラティスはC#によるスマートコントラクトが組み込まれたシーラス(Cirrus)というサイドチェーンがあります。更に2018年12月にはシーラスを含めたストラティスサイドチェーンマスターノードが発表されました。
このマスターノードはシーラスの下層に位置し、シーラスをサポートします。更にマスターノードはフェデレイテッドマスターノードとマルチシグマスターノードという2種類があります。
フェデレイトとは連合や連盟を意味する動詞です。フェデレイテッドマスターノードはシーラス上でのブロックの作成を担当することになります。フェデレイテッドマスターノードになるためには1万STRATが必要になりますが、代わりにスマートコントラクトの取引手数料とトランザクション処理のためのGASコストを受け取ることが出来ます。

マルチシグマスターノードはシーラス上でのブロックの作成に加えてマルチシグネチャーアドレスの作成も可能です。
マルチシグ(マルチシグネチャー)とは、秘密鍵を分割して複数人で保有するセキュリティ保持の方法です。1人で秘密鍵を保有する場合、秘密鍵の流出がすると保有している仮想通貨の流出する可能性がきわめて高いです。しかし複数人で分割していれば、1人分の秘密鍵が流出しても仮想通貨の流出は防げるという仕組みです。

ただしマルチシグマスターノードになるためには5万STRATが必要です。更に2019年3月現在のマルチシグマスターノードは101に限定されています。

ストラティスのコンセンサスアルゴリズム

またストラティスのサイドチェーン「シーラス」は、PoA(Proof of Authority)というコンセンサスアルゴリズムでトランザクションの承認や確認が行われます。
ブロックチェーンのブロックに収めるトランザクション情報の承認や確認方法をコンセンサスアルゴリズムといいます。

ビットコインではPoW(Proof of Work)というコンセンサスアルゴリズムを使用しています。一方リップルが使っているのはPoC(Proof of Consencus)といいます。
PoWではパブリックブロックチェーンで行われるコンセンサスアルゴリズムのひとつです。
真っ先にトランザクションの確認を行った人に報酬が支払われます。この時に支払われる報酬は新規発行分として計算されます。

パブリックブロックチェーンのコンセンサスアルゴリズムはPoW以外にも、PoS(Proof of Stake)やPoI(Proof of Importance)などがあります。
PoSでは所有している数量や期間に応じて報酬が変わるという方式です。イーサリアムが将来的にPoSへの移行が予定されています。

ストラティスのメインチェーンが採用しているコンセンサスアルゴリズムもPoSです。
PoIはネムが取り入れているコンセンサスアルゴリズムで独自の重要度スコアを算出して報酬に反映します。
PoCはプライベート型やコンソーシアム型のブロックチェーン用コンセンサスアルゴリズムです。
信頼できる一部の人しかトランザクションの処理に関わることが出来ません。代わりに報酬を考慮する必要がないというメリットがあります。
PoAもプライベート型やコンソーシアム型のブロックチェーン用コンセンサスアルゴリズムのひとつです。PoAはPoCと同じように信頼できる限られた人のみがトランザクションの処理に関われる方式です。

PoAを取り入れることで同時にプライバシー重視という方針を維持しているところも、ストラティスの特徴といえるでしょう。

マイクロソフトと提携?

コンピューター業界最大手のひとつであるマイクロソフトと提携していることがストラティス最後3つ目の強みです。
特にマイクロソフトでクラウドプラットフォームを提供しているマイクロソフトアジュールのマーケットプレイスでは、ストラティスのICOプラットフォームが入手できるようになっています。
ストラティスはマイクロソフト以外にも、ブロックチェーンテクノロジーを使って製薬業界に新しいビジネスモデルを模索しているメディコネクトとも提携しています。
メディコネクトがストラティスのブロックチェーンを使う目的は、処方薬の乱用・薬の売り込みなどの問題解決です。

Stratisの爆上げ時期

ストラティスはビットコインの相場高騰とは別に、2017年6月・2018年2月・2018年7月と3回に渡って価格が上昇しています。この3回は全てストラティスのアップデートやロードマップに関わるものです。

1回目の2017年6月には、PoSの合意検証やブリーズウォレット(Breeze Wallet)のアップデートが発表されました。
ストラティス公式が提供しているウォレットのひとつがブリーズウォレットです。

2018年2月にはストラティスの開発ロードマップの更新、2018年7月にはパズルチャレンジの開催が行われています。
パズルチャレンジとはストラティスのプラットフォームを使用し、ロジック・ブロックチェーンの知識・暗号化・適正をテストするというものです。
12のパズル課題を解決するというもので、最高賞金は1万ドル以上相当でした。

Stratis(ストラティス/STRAT)の評価まとめ

Stratisの将来性

マイクロソフトと提携していることはストラティスの強みです。しかし同時に問題点でもあります。
ストラティスが推進しているC#と.NETは、どちらもマイクロソフトが開発したものだからです。

C#の汎用性は確かに高く、2019年3月段階でも世界中で使われています。ただしブロックチェーンを構築する上で最適なプログラミング言語かは現段階では判断できません。
イーサリアムではSolidityという独自の言語を使用しています。これはブロックチェーンやスマートコントラクトを構築する上で、言語レベルから見直す必要があると考えられたためです。

2019年3月現在、ストラティスではC#によるスマートコントラクト環境の構築に成功しています。しかし今後環境に合わせてアップデートなども必要になる可能性が高いです。
C#で随時スマートコントラクトのアップデートが可能かどうかが焦点になるでしょう。