ジリカ(Zilliqa/ZIL)の詳細・特徴とは?

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ジリカ(Zilliqa/ZIL)の特徴・詳細とは

ジリカ(Zilliqa/ZIL)とは?

ジリカの特徴は取引速度の速さです。取引速度の速さを売りにしている仮想通貨は複数ありますが、それぞれ異なったアプローチ方法で速度向上を達成しました。
例えば匿名性のある仮想通貨ダッシュは、4秒という取引速度が特徴です。これを実現しているのはマスターノードの存在です。
マスターノードになるためには3つの条件があります。

1つは稼働率です。接続ロス1時間以内で365日24時間稼動できる状態になっていないとマスターノードにはなれません。

2つ目の条件は専用IPの確保、最後の条件は1,000DASHの納付です。2019年2月現在でのダッシュの相場は1DASH≒8,000円ですので、1,000DASHは約800万円になります。
これら3つの条件を全て満たさなければマスターノードになることは出来ません。

ただしマスターノードになれば、高額のマイニング報酬を受け取ることが出来ます。
全マイニング報酬の45%がマスターノードに、45%が一般のマイナーに、残る10%は今後の予算に当てられています。
つまりダッシュの取引速度の速さは、高い敷居を越えたマイナーとマイニング報酬によって支えられているわけです。

他に取引速度の速い仮想通貨としてはリップルがあります。リップルの取り入れているコンセンサスアルゴリズムは、PoC(Proof of Consensus:プルーフ・オブ・コンセンサス)という独自のものです。

コンセンサスアルゴリズムとは

コンセンサスアルゴリズムとはマイニングによって取引や送金といった内容の承認や確認する方法を意味します。
メリットとデメリットの両方が、それぞれのコンセンサスアリゴリズムに存在します。
そのため仮想通貨の種類によってもコンセンサスアルゴリズムは異なってきます。

例えばビットコインではPoW(Proof of Works:プルーフ・オブ・ワークス)というコンセンサスアルゴリズムによって成り立っています。
PoWの特徴は早い者勝ちです。真っ先にビットコインを構成している暗号を解読した人が報酬を得ます。2番手以降は無報酬でマイニングの内容を確認することになります。
またマイニングでは電気を消耗します。特にPoWは早い者勝ちという特徴のために電気の消耗が大きいという問題点があります。既にビットコインのマイニングによる電気量は国家規模にまで達しています。

PoW以外のコンセンサスアルゴリズムとしてPoS(Proof of Stake:プルーフオブステーク)というものもあります。イーサリアムが将来的にPoWからPoSに移行することが予定されています。
PoSでは誰がどのブロックをマイニングするか決められています。そのため電力の浪費に関してはPoWより抑えられます。

しかしPoWのようにマイニングされたブロックを確認する人が想定されていません。
そのため十分にマイニングされていないにも関わらず、マイニングが完了したとされるNothing at Stakeが発生する危険性があります。

一方でPoCは、信頼できる人しかマイニングできないようになっています。このため5秒という取引速度を誇っています。
リップルはコンセンサスアルゴリズムによって取引速度を上げているわけです。マイナーを厳選するという意味では、ダッシュとリップルは似ていると言えるでしょう。

Zilliqaの独自技術「シャーディング」

一方ジリカでは、シャーディング(sharding)という独自技術を使うことで取引速度を高めています。シャーディングとはトランザクションに関わるデータをランダムに分割するというものです。
PoWではトランザクション全てを全員が確認するために電気の消耗が激しくなっています。しかしジリカではシャーディングによって分割されていますので、電気の消耗が抑えられるという仕組みです。

同時にスケーラビリティ問題を解決する方法としても期待されています。スケーラビリティ問題とはトランザクションの処理が遅れることで送金や取引が遅くなるという問題です。
2017年8月1日に行われたビットコインのハードフォークは、このスケーラビリティ問題を解決のために行われました。
ただしこの時導入されたのはシャーディングではなくセグウィット(Segwit)というブロック内の情報を整理するという技術です。
なおシャーディングは、今後イーサリアムにも導入予定となっています。

PBFT

またジリカでは、PBFT(Practical Byzantine Fault Tolerance)というコンセンサスアルゴリズムを使っています。PBFTではネットワーク関係で頻発するビザンティン問題についても、寛容性を持っています。
ビザンティン問題とは原因が特定できない、あるいは複数の原因が関連しているために対策がとりにくいという特徴があります。
概念では説明できないため、オスマン帝国がビザンティンの首都であるコンスタンティノープルを攻撃するという例を挙げて説明されています。

オスマン帝国はコンスタンティノープル攻略のために大軍と9名の将軍を指揮官として派遣しました。しかしコンスタンティノープルは防衛に徹しており、簡単には攻略できません。
将軍たちは軍議を開きました。意見は大きく2つに分かれます。ひとつは現在進軍中の軍隊で攻略を試みる、2つ目は一時撤退して援軍の到着を待つというものです。
攻略派の意見は、全軍で攻撃することが前提となっています。全軍で攻勢に出て初めてコンスタンティノープル攻略が可能になるという見通しです。ただしオスマン帝国軍側にも相応の被害が出るでしょう。

一方撤退派の意見も、小隊単位の撤退ではなく全軍で撤退するというものです。もし小隊単位で撤退するようならば、途中で各個撃破される可能性があるためです。
全軍撤退すれば無傷で済むと楽観的に考えているわけではありません。一度攻略の素振りを見せているため、時間を置けばコンスタンティノープルもより守りを強固にするでしょう。
そのような仮定も踏まえて撤退派は、被害は最小限に抑える方法として撤退を支持しているわけです。

話し合いだけでも将軍たちの意見はまとまらず、最終的には多数決で最終決定を下すことにします。それでも攻略派4名、撤退派4名にまで分かれました。
ここで残り1名の将軍が自分の意見をどのようにして正確に自分の意見を残り8名の将軍に伝達するかが、ビザンティン将軍問題の最重要項目です。
当時の戦争では、伝令兵を使って将軍間の意志疎通を行うという方法を採っていました。

しかし伝令兵が必ずしも正確な情報を伝えてくれるとは限りません。伝令兵が裏切り、虚偽の報告を伝える可能性もあるためです。
裏切るまでは行かなくとも、将軍の話を誤解したり曲解することもあるでしょう。
また伝令兵自身が途中で襲われる、あるいは崖から転落するなどで伝令兵が行方不明になることも考えられます。

想定される危機が限定されているなら対策することもできるでしょう。しかしこの伝達問題は、どこに本当の原因があるのか不明確です。また原因がひとつであるとも限りません。
このように実質的に対策出来ないところがビザンティン問題です。PBFTでは3分の1をエラーが出ても仕方が無い許容範囲としています。この3分の1がPBFTの寛容性になるわけです。
またPBFTでは3段階でマイニングの正当性の確認が行われます。第1段階ではリーダーが正当性の確認を行う端末に連絡を飛ばします。この段階を前準備フェイズ(pre-prepare phase)といいます。

第2段階では、第1段階で連絡を受けた端末が実際にマイニングの正当性の確認を行います。更に第2段階のメッセージを自分以外の端末にも発信します。
第2段階は準備フェイズ(prepare phase)と呼ばれています。

第3段階となるコミットフェイズ(commit phase)では、最終的なマイニング記録の正当性の承認が行われます。ここで3分の2以上の端末が記録の正当性を認めると、承認されることになります。

PBFTのメリット

PBFTには2つの利点があります。ひとつめは、PBFTでは承認されたかどうかが明確であるというところです。
PoWでは、承認されたかどうかを明確にする段階が存在していません。確率的に承認されただろうと推定されているだけです。このためマイニングに使う電気量を抑えることが可能です。
2つ目は報酬の問題です。PoWでは真っ先にマイニングできた人にしか報酬は払われません。このため1時間かからずに複数回報酬を得ることもありますが、数日報酬を得られないことも少なくありません。

しかしPBFTではマイナー全員に支払われます。そのため安定した報酬を計算することが可能となっています。
このような利点を持っているPBFTですが、多くの端末と連絡をとりあわなければならないという問題点も抱えています。
コミュニケーション面だけを見ればPBFTは、非効率といえるでしょう。

ジリカ(Zilliqa/ZIL)データフロースマートコントラクト

2019年2月現在、仮想通貨は2,000種類を超えています。ただし仮想通貨の使用しているプログラミング言語は限られています。
例えばイーサリアムが使っている言語はsolidityです。イーサリアムの機能であるスマートコントラクトなどもsolidityで書かれています。

ただしsolidityはイーサリアム独自のプログラミング言語で一般的ではありません。そのためイーサリアムの開発を始めるためには、solidityを学ぶところから始める必要があります。
ただしイーサリアムの開発状況や今後の方針に合わせてsolidity自体を開発することが可能になります。

逆に中国のイーサリアムとも称されるネオでは、Java・Kotlin・Go・各種C言語といった一般的な言語で開発されています。このためネオの開発は、他の分野からの技術者の流入を期待することが出来ます。

一方でJavaやKotlinなどは他の分野でも使われているため、ネオの事情で方針を変更することは難しいです。
ジリカではScillaという独自のプログラミング言語を使用しています。Scillaの開発目的は、スマートコントラクトの安全性の向上です。
将来性の期待されているスマートコントラクトですが、これまでにも何度かセキュリティ上の脆弱性が指摘されました。最も有名な例はTheDAO事件で使われたスプリット機能でしょう。
かつてイーサリアムのスマートコントラクトを使った仮想通貨としてTheDAOというものがありました。
投資機能として期待されていたTheDAOは、ICOで1億6,000万米ドル以上を調達しています。
TheDAOでは、スマートコントラクトのスプリット機能が使用されていました。

スプリット機能とは、TheDAOで決まった投資先に納得できなかった時に自分の資金を引き出すことが出来るというものです。
このスプリット機能には欠陥があり、何度も資金を引き出すことが可能でした。更にTheDAO側の資金の管理が不十分だったことも重なり、360万ETHもの金額が送金されています。
この事件の対応でイーサリアムはハードフォークを行いました。その結果イーサリアムクラシックが誕生しています。

この他には数値が大きすぎると処理できず最終的に0になってしまうオーバーフロー、逆に符号がついており小さくなりすぎると処理できないアンダーフローなどのバグが見つかっています。
これらのバグは既に対応されていますが、今後異なるバグが見つかる可能性も否定できません。バグの対応はスマートコントラクトだけでは不十分で、プログラミング言語自体から見直す必要があります。

スマートコントラクト上で発見されるかもしれないバグに迅速に対応するために、ジリカは独自のプログラミング言語Scillaを選んでいるわけです。

Zilliqa(ジリカ/ZIL)の将来性

ZILが支払いプラットフォームとして発展していくのが鍵

ジリカの強みは取引速度の速さです。この取引速度の速さをどのように生かすかがジリカ発展のポイントになります。考えられる方法は大きく2つ、送金と決済です。
送金にジリカを使うとすると、将来性は厳しいかもしれません。リップルという競合相手が存在するためです。しかし決済用ならば可能性があります。

現在日本国内でも仮想通貨で支払いを済ませられる店舗は増えつつあります。ビットコインで支払いが出来る店舗は、関東圏だけでも100を越えています。
しかし支払い用の仮想通貨としてビットコインは、あまり適しているとは言えません。ビットコインはブロック生成には10分かかります。つまり支払いが成立するまで約10分かかるわけです。

一方でジリカならば5秒で済ませることが可能です。
ジリカの公式ホームページによると、ジリカが1秒間に処理できるトランザクション数は2,488です。クレジットカードのトランザクション処理速度は1秒あたり4,000から6,000といわれています。

ジリカのトランザクション速度は、クレジットカードの処理速度の50%前後まで迫ってきているわけです。
今後更にジリカの開発が進めば、ジリカはクレジットカード並みの決済速度に到達するかもしれません。