アイコン(ICON/ICX)の特徴・詳細とは?

アイコン(ICON/ICX)の特徴・詳細とは?|韓国版イーサリアムと言われるプロジェクト

ICONは韓国生まれの仮想通貨です。スマートコントラクトなどの機能を持っていることから、韓国のイーサリアムともいわれています。
今回はICONの特徴や将来性について解説していきます。

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アイコン(ICON/ICX)の特徴・詳細とは?

ICON(アイコン/ICX)とは?

仮想通貨アイコンの特徴は、大きく5つの単位によって構成されているところです。基本となる構成単位はコミュニティです。
アイコンネットワークの中には複数のコミュニティが存在します。コミュニティでは、財務機関・政府・学校・通信販売・健康・ビットコインなど、それぞれ異なるテーマを掲げています。
コミュニティの大きさは、それぞれの特性や状況によって構成している人の種類や数が変わっていきます。

コミュニティを構成しているひとつひとつの端末をシーノード(C-Node)といいます。シーノードはCommunity Nodeの略称、ノードとはネットワークに接続する端末のことです。
個人を指すこともありますが、企業・法人といった団体や組織がシーノードとなることもあります。

C-Nodeの役割

シーノードの重要な役割は、コミュニティ全体の方針決定です。
コミュニティを代表するノードがシーレプ(C-rep)です。シーレプは投票権を持っており、投票によってコミュニティの意思反映を行うことが可能です。
シーレプとなるノードは固定されているわけではありません。状況や目的によって他のノードに役割を譲渡することも可能です。

シーレプ同士の繋がりをアイコンリパブリック(ICON Republic)といいます。シーレプの目的は、アイコンパブリックの維持及び活性化です。
なおアイコンパブリックは単に横の繋がりを示すものであり、各コミュニティの統治には影響しません。
最後の5つ目はシチズンノード(Citizen Node)です。シチズンノードはこれまでの4つとは異なり、独自の役割を持っています。

Dapps作成が可能

アイコンでは、ブロックチェーンを使った独自のアプリケーションであるダップス(Dapps)の作成が可能です。
DappsはDecentralized Applicationsの略称で、分散型アプリケーションや非中央集権型アプリケーションなどと日本語では訳されています。
イーサリアム・イオス・ネオなど数多くの仮想通貨が、ダップス作成のプラットフォームを提供しています。これはダップス内で使用される通貨が、基となったアプリケーションを提供している仮想通貨に依存するためです。

例えばアイコンのプラットフォームでつくられたダップスは、アプリ内でもアイコンやアイコンを基とした通貨を利用することになります。
つまりダップスが流行すれば、仮想通貨の流通量を大幅に増える可能性があるわけです。これが各銘柄がダップス作成のプラットフォームを提供している理由のひとつです。
ただし仮想通貨内においてダップスは特別な立ち位置にあります。仮想通貨の運営や開発など重要なポストにある人が少量しか保管していない人と同じようにアプリケーションを利用することがあるためです。

そこでアイコンではダップス利用ノードをシチズンノードとして、独自の立場を確立しています。シチズンノードはアイコンの取引こそ可能ですが、アイコンリパブリックに対して議決権や投票権などは有していません。
代わりにシーノードでもシーレプでもシチズンノードになることが可能です。

ICON独自のプログラミング用語「loopchain」

アイコンにはこの他にも独自の用語が存在します。まずはアイコンで使用されているブロックチェーンであるループチェーン(loopchain)です。
ブロックチェーンとは概念であり、各仮想通貨で使われているブロックチェーンもひとつひとつ微妙に性質が異なっています。

例えばビットコインのブロックチェーンは軽さが売りです。ビットコインのブロックチェーンはブロックサイズが1MBと小さく、スマートコントラクトのような機能はついていません。
そのため拡張性としては乏しいですが、代わりに軽量で扱いやすくなっています。

一方イーサリアムのブロックチェーンは、スマートコントラクトのような特別な機能が特徴となっています。しかしブロックチェーン自体が重く、ダウンロードに時間がかかってしまいます。
ループチェーンの特徴は、カスタマイズ能力の高さです。アイコンでは複数のコミュニティと連結することが前提となっています。
そのためループチェーンは他のネットワークと連結しやすいという能力が必須となるわけです。

更にループチェーンは、スマートコントラクト機能も備えています。
他の専門用語としてアイコンネクサス(ICON Nexus)があります。アイコンネクサスとは、各コミュニティで使われているループチェーンの集合地点のことです。
シーレプ同士の話し合いや投票などは、アイコンネクサス上で行われることになります。

① LFT (Loop Fault Tolerance)

仮想通貨の取引や送金、決済といった取り扱いは、全てブロックチェーンに記録されます。こういった記録方法や記録された内容が間違っていないかを確認する方法をコンセンサスアルゴリズムといいます。
コンセンサスアルゴリズムは、画一化されているわけではありません。2008年に誕生した仮想通貨ビットコインのコンセンサスアルゴリズムは、PoW(プルーフ・オブ・ワークス)と呼ばれる方法です。

PoWの特徴は先手総取りです。真っ先に仮想通貨に施されているハッシュ関数の暗号解読に成功した人が報酬を受け取ることになります。
その他のマイナーは、無報酬で一番手の記録が正しいかどうかを確認するだけです。マイニングには電力が必要になるため、実質的には赤字ということになるでしょう。
PoWのメリットは仕組みが単純で誰にでも分かりやすいということでしょう。消費電力やハッシュパワーによってマイニングの報酬を変化させるという方法もありますが、それではマイニングの成績に直結しません。

また解読できるかどうかは運に大きく左右されます。マイニングマシンのハッシュパワーを上げて試行回数を増やせば報酬を得られる可能性は高まりますが、1回あたりの報酬額という意味では結局大きな変化が見られません。
そこでマイナーはマイニングマシンの性能を上げたり、使用するマイニングマシンの数を増やすことで報酬額を増やす方法を模索します。その結果がASICの誕生や消費電力の増大などです。
マイニングに特化した集積回路ASICの誕生は、マイニングだけではなくコンセンサスアルゴリズム全体にも大きな影響を与えました。

2019年2月現在でも、ASICでは容易に計算できないようにハードフォークによってハッシュ関数やコンセンサスアルゴリズムの変更を行う仮想通貨も存在します。
アイコンの採用しているLFPもさまざまなコンセンサスアルゴリズムの影響を受けて誕生しました。特に強く影響を受けているのは、ネオなどに採用されているDBFTです。
DBFTとは、Delegated Byzantine Fault Tolerance の頭文字をとった名称です。ネットワーク関連の問題として仮想通貨以外でも広く知られているビザンティン問題への対策が施されているコンセンサスアルゴリズムになります。

ビサンディン問題とは

ビザンティン問題は、原因が明確になっていない、あるいは複数の原因が絡まっており的確な対策ができないという問題です。
概念的な説明が難しいため、オスマン帝国がコンスタンティノープル攻略を例にとって説明されます。
作戦指揮を9人の将軍が多数決によって最終的な方針を決定します。全軍で攻略に挑めばコンスタンティノープルの陥落は可能だろうという見込みは立っていますが、自軍の被害も少なくありません。

一方全軍撤退すれば、自分の被害を最小限に抑えて再度戦略の練り直しが可能になります。攻撃と撤退の判断は難しく、どちらの案にも利点があります。
指揮官である9将軍の内の4将軍が全軍による攻略、4将軍が全軍撤退を支持しているという状況です。
この時に重要となるのは、最後の1人の攻略と撤退のどちらを支持するかではありません。残り8将軍に対して、攻略あるいは撤退という自分の意見をどのように正確に連絡するかがビザンティン問題の要点になります。

連絡が上手く伝わらない原因としては、伝令役が命令を誤解する、伝令役が敵に捕縛される、意見をまとめた書状が偽造されるなど複数存在します。
このように原因をひとつに絞れずに対策できない問題がビザンティン問題です。
原因を考えると、ひとつひとつは些細なミスあるいはヒューマンエラーかもしれません。しかしこのような小さな行き違いやすれ違いが、大きな障害に繋がる危険性もあります。

トランザクションの承認に関しても、承認を担当する人が悪意を持って拒絶する場合やマイニングマシン自身の誤作動など複数の原因が考えられます。これら全てに的確な対策を施すことは実質的に不可能です。
そこでDBFTでは、ある程度まではミスやエラーが出ることを想定して許容範囲を設定しています。その上でトランザクションを記録されたブロックを承認するかどうかを決めるというコンセンサスアルゴリズムです。

LFTとDBFTの違いは、スピニングという高速処理技術の有無です。DBFTに代表されるBFTというアルゴリズムにはパフォーマンスが低下してしまう危険性があるといわれています。
スピニングはそのようなパフォーマンスの低下を軽減するようにされた新しい技術です。

② SCORE (Smart Contract On Reliable Environment)

スコア(SCORE)とは、アイコンに採用されている独自のスマートコントラクトです。 Smart Contract On Reliable Environmentの頭文字をとってスコアと呼ばれています。
スマートコントラクトは、イーサリアムを始めとして数多くの仮想通貨に搭載されている機能になります。いつ、どこで、誰が、何を、どうするのかを決めることも出来るため、契約とも呼ばれています。

将来的な支払いや支払いが行われなかった場合の対応などの、さまざまな状況を想定した詳細を前もって決めることも可能となっています。
書面上で行われる契約では経費が必要になりますが、スマートコントラクトであれば経費の削減が出来るだろうと見込まれています。
スコアは、アイコンのブロックチェーンであるループチェーン用に拡張されたスマートコントラクトになります。
従来のスマートコントラクトは、トランザクションの記録をまとめたブロックチェーン上に契約をまとめています。このためスマートコントラクトの使用量がトランザクション処理を圧迫するようになりました。

スコアでは通常のブロックチェーンとは別に実行されます。そのためトランザクション処理を圧迫することなく、さまざまなアプリケーションを同時に使用することが可能となっているわけです。

③ ICONick

アイコニック(ICONick)とは、仮想通貨アイコンで使用されているネットワーク上で設定可能なウォレットIDのことです。
従来のウォレットIDは、英数字でランダムに構成されていました。その上長く、覚えにくいものも少なくありません。そこでアイコンでは、自分でも簡単に覚えられるようにウォレットのIDを変えることができるようになっています。
更にアイコンのネットワークでは、自分のアイコニックアドレスを他のユーザーに販売することも可能となっています。

④ DEX (Decentralized Exchange)

デックス(DEX)とは、 Decentralized Exchangeの略称になります。日本語では分散型取引所や非中央集権型取引所と呼ばれています。分散型取引所の特徴は、ネットワークの管理に取引所の運営が直接関与していないことです。

本来仮想通貨の取引は、必ず取引所を仲介させなければならないというものではありません。さらに取引所を使うと、手数料が要求されます。
それでも取引所での取引が主流になっているのは、取引相手を見つけることが困難だからです。
DEXの特徴は、手数料を削減できるところです。取引履歴をマイナーに確認してもらう必要があるため、完全無料にすることはできません。それでも中央集権型の取引所と比較すると安くすることが可能です。

一方DEXのデメリットは、自分で秘密鍵を管理しなければならないというところです。
ログインするだけで取り扱っている仮想通貨を全銘柄保管することが中央集権型の取引所の大きなメリットのひとつです。
しかしDEXを利用する場合は、自分でウォレット自体の管理をする必要があります。
アイコンではそれぞれのコミュニティとアイコンリパブリックをリアルタイムで繋いでいます。このネットワークをデックスに利用します。

ICON(アイコン/ICX)の将来性

証券、保険、バンキング、教育、健康管理の5つの分野に焦点を当てた開発

アイコンでは力を入れる主要機関として銀行・証券・保険・病院・大学の5つのコミュニティを選んでいます。
銀行であればより早い送金、証券であればトラブルなどの発生せずに行える価値のある取引を想定しています。

同様に病院での医療記録・教育機関での学術的なデータ・保険機関での保険料が、アイコンの取り扱いたい情報です。
これらの情報を単一のものとして扱うのではなく、アイコンでは複合して全体的に取り扱うことを目標にしています。

問題はそれぞれの有効なデータを提供してくれる機関と提携できるかどうかです。アイコンは既に韓国最大級の通信社SKプラネットとの業務提携を果たしています。
この提携によって、マーケティングの改革や中小企業の支援による地域経済の活発化が期待されています。
同様の提携を世界規模で展開できていけば、アイコンの将来性は広がっていくでしょう。