香港、OECD規則に基づく暗号資産の税務報告法案を可決—2027年より取引所等の義務化・データ収集を開始

OECD「CARF」採択と暗号資産取引における報告義務の枠組み

香港の立法会(議会)は、OECD(経済協力開発機構)が策定したCARF(暗号資産報告枠組み)を取り入れる税務報告法案を可決した。

この法案の承認により、香港で事業を展開する暗号資産取引所、ブローカー、カストディ事業者などのサービスプロバイダーに対し、顧客の取引履歴および識別情報を記録・管理し、IRD(香港税務局)へ報告することが法的要件となる。

報告の対象には、暗号資産の購入や売却、他の銘柄との交換、さらには外部ウォレットへの送金など、広範な取引が含まれる。事業者には顧客の氏名、住所、生年月日、税務上の居住地、および納税者識別番号といった詳細な情報の取得・手続が求められる。

2027年からのデータ収集義務化と2028年の国際情報交換スケジュール

この法案に基づくタイムラインは段階的に設定されており、実務対応の準備期間が考慮されている。

2027年1月1日〜:
対象となる暗号資産サービスプロバイダーは香港税務局への登録を実施し、顧客情報の収集および税務上の居住地確認(KYC/AML手順の更新)を開始する。既存顧客の確認作業は2028年1月までに完了させる必要がある。
2028年〜:
香港税務局は収集したデータを集計し、CARFに参加する各国の税務当局との間で暗号資産関連情報の国際交換をスタートさせる。

併せて、金融口座情報を対象とした従来のCRS(共通報告基準)の改定案も承認された。更新されたCRS規則は2028年に施行され、自動情報交換の運用は2029年から行われる見通しだ。

金融市場の信頼性向上とWeb3インフラの拡充

香港のクリストファー・ホイ(許正宇:Christopher Hui)財経事務・庫務局長は、国際的な税務透明性の確保が、主要な国際金融・商業センターとしての評価と信頼を維持するために不可欠であると言及した。

今回の法整備は単なる増税を目的としたものではなく(既存の税制や税率に変更はない)、国際水準のコンプライアンス体制を確立することを主眼としている。

香港は現在、暗号資産取引、保管、助言、運用サービスを網羅する包括的なライセンス制度の導入を進めており、今回の税務報告義務化もその一環だ。また、ブロックチェーンを活用したProject Ensemble(プロジェクト・アンサンブル)によるトークン化預金の24時間決済システムの導入など、次世代の金融インフラ整備も同時に推進されている。

事業者側の負担軽減に向け、香港税務局は専門タスクフォースを設置しており、データセキュリティおよび機密保持のガイドライン整備や技術的支援を順次提供していく方針だ。

 

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