Polygon、ハッキングで盗まれた約7,050万POLの回収に向けハードフォークを提案

流出事件の経緯と現在の応急対応

暗号資産ポリゴン(Polygon/POL)のPoSネットワークにおいて、ハッキング被害を受けた大量のトークンを回収するためのハードフォーク(大型アップデート)提案が浮上した。

日本語訳:
Polygon Labsメンバー、PolymarketとBinanceから盗まれた約7,049万POLの回収に向けたハードフォークを提案
Polygon Labsのバリデータサポートチームのメンバーが、PolymarketとBinanceを巻き込んだ…

対象となるのは、2026年10月末に発生した暗号資産取引所バイナンス(Binance)および予測市場Polymarket(ポリマーケット)に関連するセキュリティインシデントで不正流出した約7,049万POL(約10億円相当)だ。分散型ネットワークの根本的な原則に関わる問題として、暗号資産コミュニティ内で大きな議論を呼んでいる。

被害の内訳は、Polymarket側でサードパーティ製スクリプトの侵害により流出した約2,386万POL(4アドレス)と、バイナンスのホットウォレット侵害により流出した約4,663万POL(1アドレス)の計5アドレスだ。

事態を受け、Polygonのバリデータ(ブロック生成者)は応急措置としてBorトランザクションのブロックリストにこれらのアドレスを追加し、資金の移動を緊急凍結。さらに、攻撃者が約21万9,450 POLもの高額な手数料を支払って取引を強行しようとしたり、制限解除の見返りにバリデータへ裏取引を持ちかけたりした動きも確認されている。

しかし、現行のブロックリスト機能はノードの再起動が必要なうえ、すべての送金ルートを完全に遮断できるわけではなく、何より「資金を本来の所有者へ返還することはできない」という決定的な制約がある。

ハードフォークによる資金回収の仕組み

Polygon Labsのバリデータサポートチームから提出された改善提案は、特定のブロック高においてネットワーク全体で協調的アップデートを実行するものとなっている。

具体的には、攻撃者が管理する5つのアドレスの残高を完全にゼロへリセットし、同額のPOLを両社が事前に所有権を証明した回収用ウォレットへ直接送金する。この処理において新たなトークンが発行されることはなく、POLの総供給量にも一切影響を与えない。また、バイナンスから同時に流出し、テザー(Tether)社によって既に凍結処理がなされているUSDTなど、他の資産は今回のハードフォーク対象から外されている。

ネットワーク分岐のリスクとガバナンスの苦悩

この提案の実行には明確な課題と懸念が伴う。技術面では、非対応のノードが存在した場合にブロックチェーンが枝分かれするチェーンスプリットのリスクがあるため、テストネットAmoy(アモイ)での慎重な検証と、主要プロバイダーや取引所による一斉アップデートが不可欠だ。

さらに重大なのが、パブリックブロックチェーンにおける不可逆性(改ざん不可)という原則との対立だ。秘密鍵を用いずに資金を移動させる介入措置は“不変性の侵害”に該当するため、バリデータの一部から強い反発が予想される。過去の被害者が同様の救済を求める前例となりかねない点も懸念材料だ。

提案側は今回の措置を「極めて例外的な緊急対応であり、常態化させるべきではない」と強く主張している。暗号資産ネットワークが中央集権的な介入と分散型の信頼性のバランスをいかに保つのか、今後のガバナンス判断と検証プロセスの行方に注目が集まっている。

 

ABOUTこの記事をかいた人

NEXT MONEY運営です。 「話題性・独自性・健全性」をモットーに情報発信しています。 読者の皆様が本当に望んでいる情報を 日々リサーチし「痒いところに手が届く」 そんなメディアを目指しています。