USDC発行元のCircle社、8億6500万ドルの黒字決算を発表も従業員5%を削減

削減好決算の陰で行われた組織再編とリストラの詳細

米ドルペッグ型のステーブルコインUSDCを提供するCircle Internet Groupは、2026年第3四半期の好調な財務実績を明かす一方で、全体の人員の約5%に相当する規模の削減を密かに断行した。

同社はこのリストラ策について、自社の運用モデルと中長期的な優先施策へリソースを最適化するための戦略的アプローチであると明言している。公表された決算文書によると、解雇に伴う退職手当や各種福利厚生などの補償コストとして910万ドル(約14.3億円)の構造改革費用が計上された。

日本語訳:
Q3はCircleにとって大きな四半期でした。
→ USDCが全ステーブルコイン取引量の79%を占め、前年比66%から増加し、チェーン上で13.9兆ドルが移動(+49%)
→ 過去最高の2080億ドルのUSDCが鋳造および償還され、1日あたり約23億ドル
→ Arcメインネットが…

その一方で、退社する社員が保持していた未確定株の処理により570万ドル(約9億円)の株式報酬費用が戻し入れられたため、費用負担の一部が相殺されている。なお、ジェレミー・アレール(Jeremy Allaire)CEO(最高経営責任者)は、業績の好調さを大きくアピールする一方で、この人員整理の事実については公式コメントで言及を避けた。

過去最高水準の利益を支えた「一時的収入」の正体

同四半期のCircle社の業績自体はきわめて堅調で、総収入(準備金収益を含む)は前年同期比17%増の8億6,500万ドル(約1,365.5億円)に達し、純利益も2億2,600万ドル(約356.7億円)を確保した。しかし、収益の内部構造を紐解くと、手放しでは喜べない課題が浮かび上がる。

収益項目 第3四半期の実績 前年同期比の動向 主な要因・内訳
準備金収益 6億5,800万ドル 8% 減少 運用利回りの低下(3.5%へ下落)
その他収益 2億700万ドル 大幅増加 「Arc」トークン事前販売(1億8200万ドル)
調整後EBITDA 3億1,700万ドル 85% 増加 トークン売上および流通費用の削減

中核である準備金からの利息収入が金利低下を受けて縮小したのに対し、全体の伸びをけん引したのは独自ブロックチェーンArc(アーク)のトークン(ARC)のプレセールによる一括収入だった。こうした単発的な利益に頼る構造は、同社にとって持続的な収益モデルの構築が急務であることを物語っている。

成長が鈍化するUSDCとCRCL株を取り巻く市場環境

ステーブルコイン市場における競争激化も同社の懸念材料だ。USDCの平均流通量は733億ドル(約11.5兆円)と前年同期比で増加傾向を見せたものの、四半期末時点の供給高はほぼ横ばいとなり、米ドル建て市場におけるシェアは27%にまで減退した。

これに対して同社は、大手取引所バイナンス(Binance)との資本提携や新興国市場への拡大アプローチを通じて配給基盤の強固化を図っている。株式市場では、決算内容の開示を受けて同社株式(CRCL)に一定の買いが戻ったものの、相場自体は上下に揺れ動く展開となった。

金利依存からの脱却を目指す同社が立ち上げた決済ネットワークの年換算取引高は400億ドル(約6.3兆円)を突破し、パーミッション型バリデータとしてVisa(ビザ)やBlackRock(ブラックロック)などの金融大手が参加するArcネットワークへの期待も高まっている。しかし、業界全体の調整局面に加えて市場でのシェア確保に手苦戦する現状は、投資家に対して慎重な姿勢を強めさせている。

業界全体に広がるコスト削減と自動化の潮流

業績が黒字であるにもかかわらずCircle社が人員削減に踏み切った背景には、暗号資産(仮想通貨)業界全体を包む厳しい市場環境と効率化への強いプレッシャーが存在する。コインベース(Coinbase)がAI(人工知能)活用を理由に大幅な削減を実施したほか、Ethereum Foundation(イーサリアム財団)やBitGo(ビットゴー)、Bitwise(ビットワイズ)といった主要企業も次々と人員の縮小を発表した。

ビジネス構造の転換期を迎えるなか、Circle社は金融インフラの多角化を進めて準備金金利だけに頼らない体質を作り上げようとしている。規制対応の強化や新興国ネットワークの開拓を通じ、強固な実体需要を確立できるかどうかが今後の成長の鍵となる。

 

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