グローバルな債券市場を活用するMetaの狙いと異例の巨額調達
AI(人工知能)技術をめぐる世界的競争が激化する中、Meta Platforms(メタ・プラットフォームズ)社は、直近で5種類の米ドル建て社債を発行し、150億ドル(約2.37兆円)を確保したのに続き、初となるユーロ建て債券の発行を開始した。
複数のトランシェで構成されるユーロ債の発行を通じて、最終的に90億ユーロ、償還期間は4年から38年の調達を達成している。これまで巨大テック企業は潤沢な自己資金を中心に成長投資を賄ってきたが、大規模言語モデルの開発やデータセンターの拡張には想定を上回る巨額資本が必要となっている。
市場調達へ切り替える背景には、膨大な需要に対応する計算能力の確保だけでなく、欧州市場の低コストな調達環境の活用や、グローバル展開に伴う外貨リスクのヘッジといった財務上の利点も含まれている。今回の債券発行では主幹事証券としてシティグループやモルガン・スタンレーが参画した。
AIインフラ構築に伴う設備投資の増大と多角的な資金戦略
Metaが公表した見通しによると、今年の設備投資額は1,350億ドル(約21.4兆円)から1,450億ドル(約22.9兆円)という過大な規模に達する見込みだ。
同社はOpenAIやAnthropic(アンソロピック)などの競合に対抗するため、Muse Spark(ミューズ・スパーク)に続く新たなAIモデルMuse Wonder(ミューズ・ワンダー)をリリースしており、先端モデルの開発とインフラ拡張を推し進めている。
こうした資本需要に対応するため、債券市場だけでなく株式市場からの調達も進めている。普通株で250億ドル(約4兆円)、優先株で125億ドル(約2兆円)を調達したほか、市場価格で随時発行可能なATM(アット・ザ・マーケット)プログラムにより最大600億ドル(約9.5兆円)の追加発行計画も整えている。
米ドル建て社債では2031年満期(32.5億ドル、利率5.85%)や2033年満期(32.5億ドル、利率6.25%)をはじめとする長中期の年限が提示され、全体の発行利回りは5.85%から7.53%の範囲となった。これに対し、投資家側からの注文総額は約3.9倍の580億ドル(約9.2兆円)に達し、強固な需要が確認されている。
市場からの警戒感と大手テック企業に広がる資金調達の波
一方で、膨らみ続ける投資コストに対して格付け機関や投資家からは懸念の視線も注がれている。
民間信用格付け機関のムーディーズ(Moody’s)は同社に「Aa3」の格付けを付与。保守的な財務姿勢やプラスのネットキャッシュ維持を予測しているものの、S&Pグローバル・レーティングはバランスシートへの圧力から信用見通しを引き下げた。大手テック各社が大型発行を重ねるなか、市場側はより高い利回り(スプレッド)を求める傾向を強めている。
同業他社においても同様の動きが相次いでおり、マイクロソフトによる250億ドル(約4兆円)の社債発行をはじめ、オラクルの100億ドル(約1.5兆円)調達、アルファベットによる60億ユーロ(約1兆円)規模のユーロ債発行など、テック大手による発行ラッシュが続いている。ブルームバーグの集計によると、昨年(2025年)以降に市場で発行された投資適格債は世界全体で4,300億ドル(約68兆円)近くにのぼる。
巨額なAI関連投資が将来十分なリターンを生むのかという点や、政治環境・規制強化の動向に対する警戒感が株式・債券市場の重石となる局面もあるが、Metaをはじめとする巨大IT企業は、主導権を握るべく大規模な資金調達を継続している。
























