Ethereumブロックチェーンとの互換性を持つトークンですが、この規格は様々な目的や用途に合わせて開発が進められています。
本記事では、その中でもERC20、ERC223、ERC721の三つの規格についての解説を行います。
目次
ERC規格について
これから解説を行うERCという規格についてですが、これはEthereumのブロックチェーン上のトークンはすべてこの規格に順守してトークンを発行しています。
このERCとは、Ethereum Request for Commentの頭文字をとったもので、20や223などの番号はその規格が開発された順番につけられています。したがってこの番号の大小は性能を示すものではありません。
Ethereumでは、多くのトークンが2014年に開発されたERC20という規格を採用しており、この規格ではトークンの上限枚数などの基本的な設定などをすることができます。
続いて、最初に触れた三つの規格に関しての説明を行っていきます。
ERC20
ERC20は2014年に開発された、現在最もメジャーなEthereumのトークン規格の一つです。
この規格は、発行する際にトークン発行枚数や名称、小数点以下の桁数の設定などと設定項目が比較的少なくシンプルに設計されていることが特徴です。
現状、ほとんどのICOを行うプロジェクトがそのTGE(Token Generation Event)でこの規格を採用しています。これはウェブウォレットやモバイルウォレットが銘柄別ではなく、規格として採用している点などからも、その利便性の高さに拠るものだと考えられます。
現在ではOmiseGOなどのプロジェクトでこの規格が採用されています。
しかし、その手数料や分散型のゲームに向いていない点などから、その後多くの提案がなされERC223やERC721などの規格が誕生していきました。
ERC223
ERC223はERC20の改良版ということができます。改善点は以下の2点です。
- 送金手数料の削減
- 送信先アドレスが存在しない場合の返還
送金手数料の削減
ERC223の規格を利用して発行されたトークンはERC20のトークンと比較して必要なGASを抑えることができます。
送信先アドレスが存在しない場合の返還
ERC20の規格では、トークンを存在しないアドレスに送って実質的に動かすことができなくなってしまったものが約3億円以上存在します。ERC223を利用して発行されたトークンでは、間違ったアドレスや存在しないアドレスに送金を行おうとしたとき、このトークンは送金されず、持ち主のもとに返還されます。
ERC721
ERC721は代替不可能なNFTトークン(Non-Fungible Token)を特徴としています。
Non-Fungible Tokenの特徴
例えば、ERC20やERC223などの規格を採用したトークンは「量」がその価値を測る指標となります。したがってAとBが同量のトークンをお互いに送金したとき、この価値も同等となります。
一方で、ERC721の規格を採用したトークンでは、トークンの「質」がその価値を図る指標となります。この規格はCryptoKittiesやDecentralandなどのDAppsゲームに採用されており、この価値は数字による絶対性ではなくユーザーによる相対性で判断されます。
したがって、ERC721はERC20やERC223が適している決済ではなく、コミュニティにより価値が生み出されるDAppsのゲームなどへの活用が期待されています。
まとめ
Ethereumのブロックチェーン上のトークン規格として採用されているERC20、ERC223、ERC721の三種類について解説しました。
今後も更なる開発が期待されるEthereumですが、この三つの基本となる規格はぜひ押さえておきましょう。