ソラナ(Solana)発のミームコイン「PUMP」巡りGate.ioが発表を撤回
ソラナ(Solana)ブロックチェーン上で注目を集めていたミームコイン「PUMP(Pump.fun)」を巡り、仮想通貨取引所Gate.ioが突如プレセール発表を削除し、投資家の間で波紋を広げている。
Gate.ioは7月6日までに、同取引所の公式サイトからPUMPトークンのプレセール告知を完全に削除した。NEXTMONEYの特集記事「Pumpfun、7月12日に公式PUMPトークンの公開販売=6億ドルを調達予定」でも報じたように、Gate.ioは当初、PUMPトークンのプレセールを7月12日から実施すると案内していた。トークン総供給量は1兆枚で、そのうち1,500億枚が1枚あたり0.004ドルで販売され、調達目標は6億ドル(約880億円)とされていた。販売は72時間の先着順で行われ、供給量の15%が提供される予定だった。
一見すると両社が連携した正式な取り組みに見えたが、発表は数時間で削除された。削除後、英語版と中国語版の販売ページはともに404エラーとなり、プロセスが中断されたことを示している。
Pump.funはこれまでトークンローンチの計画を否定していたが、最近になって方針を転換し、PUMPの立ち上げを発表した。同社は40億ドル(約5,871億円)規模の企業評価額を目指しているとされている。販売ページに購入制限は明記されておらず、最低限の参加要件のみが示されていた。
しかし、Gate.ioおよびPump.funの双方から発表削除に関する明確な説明はなされていない。
両社の課題と市場の不信感
この混乱の背景には、両社がそれぞれ信頼性に関わる課題を抱えていることがある。
Gate.ioは最近、品質問題を理由に33銘柄を上場廃止とし、過去には疑わしいプロジェクトを扱ったとして批判されてきた。一方、Pump.funもかつての勢いを失っており、ボットの利用やユーザー損失の増加が問題視されている。さらに、ソラナ基盤の競合ローンチパッド「LetsBonk」がPump.funを1日あたりのトークン発行量で初めて上回ったことも、市場の地位低下を示している。
Gate.ioのサポートは「プロジェクト側との交渉によりプレマーケットOTCを削除した」と述べたが、プレセールの再開予定や削除理由の詳細には触れておらず、不透明感が拭えない。Pump.funの共同創設者であるアロン・コーエン(Alon Cohen)氏もコメントを発表していない。
期待されたセールと揺らぐ信頼
PUMPのプレセールは、ソラナミームコイン市場において大規模な資金調達と企業評価額引き上げが期待された重要なイベントだった。
販売ページの削除は計画の遅延や変更の可能性を示しており、プロジェクトの信頼性に影を落としている。Pump.funは2024年初頭のミームコインブームで注目を集め、1,100万件以上のトークン発行と440万SOL(約6億5,000万ドル)の収益を上げたとされるが、現在では取引量がピーク時から75%減少。DefiLlama(ディーファイラマ)のデータによれば、過去6カ月間で1日あたりの取引量は80%近く落ち込んでいる。
仮想通貨市場では信頼と透明性が特に重要視される中、今回のような突然の発表撤回と説明不足は、投資家の不安を一層高めている。
現時点でPump.funから正式なコメントは発表されておらず、今後の動向が注目される。今回の一件は、仮想通貨トークン販売における情報開示の重要性と、信頼維持の難しさを浮き彫りにしている。