トヨタ、ブロックチェーンへの本格参入で自動車を取引可能なRWAに

トヨタが自動車のトークン化を検討

世界のトップ自動車メーカーであるトヨタが、車両、規制当局、保険会社、インフラを統合デジタルプラットフォームで連携させる事を目的とした、アバランチ(Avalanche)ベースのシステムを試験運用している。

トヨタグループの研究開発部門であるトヨタ・ブロックチェーン・ラボは2025年8月19日(火曜日)、車両と関連サービスをオンチェーン化する、アバランチ(Avalanche/AVAX)上にブロックチェーンベースの中間層を構築する「MON(モビリティ・オーケストレーション・ネットワーク)」を発表。自動車所有の金融化、車両群を資産化する取り組みを進めており、自動車のトークン化という概念を積極的に検討。この新しいブロックチェーンは、車両の主要データを追跡し、自動車をトークン化された資産へと転換できる可能性が期待されている。

MONシステムの詳細

プロトタイプは4層構造となっておりアバランチは、トランザクションの記録と検証を行うベースレイヤーとして機能する。

その上位にあるデータアクセス・コントロールレイヤーは、権限を管理し、相互運用性を確保する。モビリティサービスレイヤーは、決済、保険、データ交換などのアプリケーションをサポートし、インターフェースレイヤーは外部の参加者とユーザー向けツールを接続する。

トヨタによると、このシステムは、保険金請求処理やライドシェア契約の管理から、電気自動車の充電やカーボンクレジットの追跡まで、幅広いシナリオに適用できるという。各トランザクションは、中央機関を必要とせずに透明性を持って実行される。ブロックチェーンネットワークが自動車の使用状況を追跡することで、自動車の所有と使用を密接に結び付ける必要がなくなる。自動車メーカーは複数の自動車NFTをまとめることで、実質的に自動車フリートへの投資を可能になる。自動車を証券化することで、フリート運営者はローンよりも低コストで資金調達できるようになる。

あらゆる車両が情報の痕跡を残す

提案では、物流トラック、レンタカー、ロボタクシーなど、あらゆる車両が情報の痕跡を残すと説明されており、登録、製造、メンテナンスなどの情報は、ネットワーク上で証拠としてトークンにまとめられるという。

各車両には、その履歴や重要な情報を含む独自のNFT(日代替性トークン)が付与され、購入希望者は、この情報を用いて車両の価値を評価できる。また、このネットワークでは、ユーザーが車両を物理的に操作することなく、これらのNFTを購入できるようになるという。

ブロックチェーンネットワークが自動車の使用状況を追跡することで、自動車の所有と使用を密接に結び付ける必要がなくなり、自動車メーカーは複数の自動車NFTをまとめることで、実質的に自動車フリートへの投資を可能になる。自動車を証券化することで、フリート運営者はローンよりも低コストで資金調達できるようになる。

トヨタが見据える自動車所有の未来

MONフレームワークは、モビリティシステムの透明性と信頼性を向上させることを目的としており、Avalancheはそのスピード、拡張性、相互運用性から選定されている。

トヨタによると、このプロジェクトは、データの分断、自動車業界全体にわたる相互運用可能なネットワークの欠如、管轄区域ごとの規制の違いなど、運輸業界が抱える最大の課題のいくつかに対処することを目的として設計されている。

トヨタ・ブロックチェーン・ラボは、このネットワークの活用事例をいくつか想定しており、自動車は高価であるが、住宅とは異なり、これまで金融化の潮流を逃れている。

ただしし、ホワイトペーパーでは、自動車所有の金融化が一般の自動車所有者や自動車価格にどのような影響を与えるかについては現段階では言及されていない。また、MONはまだプロトタイプであり、商用展開はされていない。トヨタが導入を決定するまでは、憶測にとどまる可能性がある。

 

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