米政府ウォレットがETHをCoinbase Primeへ送金、売却警戒感が広がる
米国政府が保有する仮想通貨イーサリアム(Ethereum/ETH)をCoinbase Primeに送金したことが確認され、市場では売却の可能性に対する懸念が再び強まっている。
ARKHAM ALERT: THE US GOVERNMENT JUST DEPOSITED ETH TO COINBASE
A US Government wallet just made a test transaction of $10 to a Coinbase Prime deposit.
This wallet holds $100K ETH, originally seized from Chase Senecal in October 2022. pic.twitter.com/NkLgFcBPZ6
— Arkham (@arkham) July 7, 2025
アーカムアラート:米国政府がCoinbaseにETHを入金しました。米国政府のウォレットがCoinbase Primeに10ドルのテスト取引を行いました。このウォレットには、2022年10月にChase Senecalから押収された10万ドル相当のETHが保管されています。
2025年7月7日(月曜日)、オンチェーンデータにより、米政府が管理する「米国政府:FBI」ラベル付きウォレットから、Coinbase Primeの入金アドレスへまず約10ドル(約1,467円)相当のテスト送金が行われ、その後に86.56ETH(約2,900万円相当)の本送金が実施された。このウォレットは、2022年にNFT(非代替性トークン)詐欺で押収された資産を保管していたアドレスで、今回の送金はそれ以来初の大きな動きとなる。
押収資産の動きが市場心理に影響
Coinbase Primeは、機関投資家や大口トレーダーが市場への影響を抑えて取引する際に利用されるプラットフォームであることから、送金は売却を意図したものではないかとの見方が広がっている。
米国政府が仮想通貨を取引所へ移動させるたびに、市場参加者は敏感に反応する傾向があり、今回のETH送金も例外ではない。過去にも同様の動きの直後に売却が行われた事例があり、市場では今回もその可能性を警戒する声が上がっている。
ETH価格は送金時点でおおむね安定しており、CoinGapeによると2,530ドル前後で推移。TradingViewでは一時的に下落する場面も見られたが、大きな価格変動はなかった。オンチェーン分析によれば、米政府は現在も約6万ETHを保有している。
規模は小さいが、市場に与える示唆は大きい
今回の送金額は米政府の保有総額と比較すると小規模であり、売却確定の情報も現時点では確認されていない。ただし、過去に押収資産をCoinbaseを通じて売却した実績があることから、市場では警戒が続いている。
NFT詐欺やハッキングに関与したチェイス・セネカル(Chase Senecal)氏から押収されたこのETHが移動したこと自体が、投資家心理を揺さぶる材料となっている。こうした政府ウォレットの動きは、たとえ少額であってもFUD (※1)を誘発する可能性がある。
Fear=恐怖、Uncertainty=不確実性、Doubt=疑念の頭文字から来た略で、仮想通貨に治するネガティブキャンペーンのようなもの
一部では、今回の送金は保管先の変更や会計処理など技術的な理由であり、過剰な懸念は不要との指摘もある。実際、送金は22万ドル(約3,200万円)未満にとどまり、即時の影響は限定的と見る声も少なくない。今後、Coinbaseや政府当局からの動きや追加情報が注目される中、市場では引き続き警戒感が漂っている。