ストライプが100カ国以上でステーブルコイン口座を展開
米国のグローバル決済プラットフォームストライプ(Stripe)は、数兆件の取引で学習させた決済処理用のAI(人工知能)基盤モデルと、拡張された仮想通貨対応機能として、100カ国以上の顧客にステーブルコインベースの口座導入を発表した。
このAIは、決済の失敗を減らし、不正検出を向上させることを目指しているほか、100カ国以上で新たに開設されたステーブルコインアカウントにより、企業は従来の通貨にペッグされたデジタル通貨での取引が可能になる。ステーブルコインの需要は年々高まっており、時価総額は2025年5月時点で2,310億ドル(約33.2兆円)を超える見込みだ。
2025年5月7日(水曜日)付けの公式発表によると、新機能により、プラットフォームの顧客は「従来の法定通貨の銀行口座と同様に、米ドル建てのステーブルコイン口座の残高を送金、受取、保有」できるようになる。この新たな口座機能はサークル(Circle)社のUSDCと、ストライプが2024年10月にプラットフォームを買収したブリッジ(Bridge)社のUSDBステーブルコインに対応しており、アルゼンチン、コロンビア、チリ、トルコ、ペルーなど、100カ国以上の顧客に提供される予定だ。
AI基盤モデルと仮想通貨対応機能の大幅な拡張を発表
AIと金融テクノロジーの融合を象徴する大胆な動きとして、ストライプは決済処理向けに特別に設計された新AI基盤モデルと、仮想通貨対応機能の大幅な拡張を発表した。
同社は、年次開発者会議でこのAI基盤モデルを発表し、この技術を企業の取引処理方法に革命をもたらす革新的なツールと位置付けた。このモデルは同社のプラットフォームで処理された「数兆件もの決済取引」に基づいて学習されており、同社が決済に特化した初の大規模言語モデルと表現するモデルを構築しえおり、同社の共同創業者兼社長であるジョン・コリソン(John Collison)氏は次のように述べている。
私たちは数年にわたってこの開発に取り組んできました。このモデルは、決済フロー、決済スケジュール、そしてさまざまな法域における規制要件を理解しています。
NVIDIAとのパートナーシップの強化
AIに関する発表に加えて同社は、NVIDIAとのパートナーシップを強化し、同社のコンピューティングインフラを活用して新たなAIイニシアチブを推進していくことを発表した。
この提携は、高度な金融AIモデルを大規模に実行するために必要なコンピューティング能力の高さを浮き彫りにしている。大手メディアのブルームバーグによると、同社は100カ国以上でステーブルコイン口座を開設しており、企業は従来の法定通貨にペッグされたデジタル通貨で決済を保有、送金、受領できるようになっている。
ステーブルコイン口座は、当初はUSDCとユーロコイン(EUROC)に対応し、今後数カ月でさらに多くの通貨に対応する予定だ。
同社の強みは、膨大なデータセットと、世界中の数百万の企業に確固たるプレゼンスを有していることにあり、年間数千億ドル規模の決済処理を実施し、AIモデルにさまざまな業界や地域にわたる多様な学習データを提供している。