サムライウォレット、米国連邦当局による法的助言隠蔽を非難

サムライウォレット創業者らが米国連邦当局による法的助言隠蔽を非難

サムライウォレット(Samourai Wallet)の共同創設者を代理する弁護士は、米連邦検察当局が1年以上にわたり財務省から提出された法的意見を隠蔽(いんぺい)していたと主張している。

サムライウォレット創業者の弁護士は、連邦検察が1年半以上にわたって米国財務省から仮想通貨ミキサーはライセンスを必要としない可能性が高いと伝えられていたことを隠蔽していたと主張している。

サムライウォレットの弁護士は、サムライウォレットの共同創業者であるケオン・ロドリゲス(Keonne Rodriguez)CEO(最高経営責任者)と同社ウィリアム・ヒル(William Hill)CTO(最高技術責任者)の弁護士は、5月5日付のマンハッタン連邦裁判所宛ての書簡の中で、検察がFinCEN(米国財務省金融犯罪取締ネットワーク)の担当者から、2人を起訴する6カ月前に「FinCENのガイダンスでは、サムライウォレットアプリはFinCENライセンスを必要とする『マネーサービス事業』に該当しない」と伝えていたことを明らかにしたと述べた。

2カ月後の2024年4月にDOJ(米国司法省)は、同CEOと同CTOらが無免許の送金事業を共謀して運営し、1億ドル(約143億円)を超える不正資金をロンダリング(資金洗浄)したと非難。弁護団は現在、証拠が隠蔽され、彼らの権利が侵害され、訴訟が不当なものになったと主張している。

FinCENは免許不要と述べていた

被告らは、検察が当初の開示からFinCENの法的解釈を省き、6カ月後に刑事告発をしたと考えており、書状には次のように記載されている。

この非開示は、依頼人が保釈を請求し、弁護の準備を整え、そして訴訟の早期却下を求める能力を阻害した。

被告側は、検察官が弁護側に有利な証拠を開示しなければならないという憲法上の要件を指す「ブレイディ違反」と呼ぶ行為を調査するため、正式な審理を要求。5日付の提出書類において、被告側の弁護団は、証拠の隠蔽は些細なことではないと主張。彼らは、FinCENの解釈が、サムライの非管理型ウォレットソフトウェアは米国法上の規制対象送金業者に該当しないというサムライの主張と一致していると主張した。

両氏は逮捕前に無罪を主張

サムライの共同創業者は、起訴される数年前から、公開討論会で規制上の懸念について発言しており、2021年7月12日に同CEOはポッドキャストで次のように述べている。

サムライが取引の匿名化に用いるCoinJoinは合法であり、資金のカストディ(保管)が絡まない限り送金法の適用外である。ユーザーにはこの種のツールを使用する完全な権利がある。これは単なる共同取引に過ぎない。CoinJoinサービスを提供し、カストディも行っている場合は、送金業者とみなされ、送金ライセンスを取得している必要がある。

同CEOは、発言の半年後の翌年1月末にもこの主張を繰り返し、FinCENなどの規制当局は、非カストディ型ウォレット開発者はMSB(ネーサービス事業者)ライセンスの対象外であると一貫して主張してきたと述べている。「私たちは送金をしていない」と同CEOは当時述べており、後にFinCENの職員も内部討論の中でこの法的見解に言及している。

弁護団は、FinCENがサムライを規制の管轄外と見なしていたのであれば、検察側には刑事訴追の根拠がないと主張。「『検察による規制』のこれ以上明確な例は想像しがたい」と書簡の中で主張している。

4月30日、弁護団は政府に対し、FinCENとの電話会議がなぜ早期に開示されなかったのかを説明する文書の提出を要求。2日後の5月2日、政府は2023年8月のメールを一部提供したものの、遅延の原因となった内部協議の共有は拒否を貫いた。検察は1年にわたる情報隠蔽の理由を未だ説明しておらず、ロドリゲスCEOとヒルCTOは開示遅延の背景にある状況を明らかにするため、法廷審問を要請した。

 

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