ドバイ土地局と民間企業が推進するトークン化構想
ドバイ政府のDLD(ドバイ土地局)は、不動産をブロックチェーン上でトークン化する新たなプロジェクトを開始した。
基盤にはXRP Ledger(XRPL)が採用されており、デジタル資産プラットフォームRecap Technologiesやトークン化パートナーのCtrl Altと連携して進められている。
このプロジェクトは2025年3月16日にパイロットプログラムとして始動。政府保有の不動産証書をPrypco Mintプラットフォームを通じてトークン化し、投資家に分割所有権として提供することを目指している。既に3,000人以上の投資家が登録済みであり、その多くは国際的な関心を集めている。投資資格は現在、エミレーツカード保有者に限定されているが、関心の高さから今後の展開が期待されている。この取り組みには、DLDのほかVARA(仮想資産規制庁)、ドバイ未来財団、UAE中央銀行など複数の政府機関が関与しており、信頼性の高い制度構築が進められている。
XRP Ledgerを活用した仕組みと今後の展望
XRP Ledgerは、高速で低コストなトランザクション処理とスマートコントラクト機能を備えており、プロジェクトでは不動産のトークン化および取引基盤として活用されている。
Ctrl Altは、VARAおよびドバイ未来財団と協力して、安全かつ規制に準拠したトークン化フレームワークの構築を進めており、Prypco Mintを通じて最低2,000ディルハム(約8万円)からの小口投資が可能となる。こうした取り組みは、DLDが掲げる「ドバイ不動産セクター戦略2033」に沿ったもので、2033年までに160億ドル規模の不動産トークン市場の形成を目指している。
リップル社の動向とXRPLの広がり
今回のXRPL採用は、リップル社にとっても不動産分野での象徴的な活用事例とされてori,
これまでにも、英国のAbrdn社やOpenEden社によるXRPL上での資産トークン化が進んでおり、RWA分野への実装が拡大している。
さらにリップル社は、DFSA(ドバイ金融サービス局)から決済プロバイダーライセンスを取得しており、機関投資家向けサービスの提供を通じて、ブロックチェーン基盤の社会実装を進めている。
登録投資家数と制度的信頼性の確立
プロジェクトには既に3,000人を超える投資家が登録しており、証書情報はブロックチェーン上に記録されることで、取引履歴の透明性と信頼性が担保される。
DLDによると、ドバイでは既に約30億ドル相当の不動産資産がトークン化されたとされ、今後の成長が期待される。不動産分野でのトークン化は、世界的にはまだ限定的である一方、ドバイは制度整備と技術実装の両面で先行しており、注目を集めている。
一方、SEC(米国証券取引委員会)が民間不動産トークン化企業を詐欺で訴えた事例もあり、政府主導による制度整備の重要性が改めて浮き彫りとなっている。今回のような複数の規制当局が関与するプロジェクトは、投資家にとって信頼できる代替案として位置づけられている。
ドバイは長年にわたり、仮想通貨やブロックチェーン技術の導入に積極的であり、不動産トークン化もその戦略の一環といえる。今後、グローバルなWeb3インフラの形成において、同国の存在感はさらに高まる可能性がある。