米司法省とテザー社、330万ドル相当の仮想通貨詐欺ネットワークを閉鎖

米司法省とテザー社による仮想通貨詐欺ネットワークの摘発を象徴するビジュアル

DOJが不正送金と偽装IDを用いた大規模詐欺スキームを摘発

DOJ(米国司法省)は、仮想通貨テザー(Tether/USDT)を利用した約330万ドル(約4.7億円)相当の詐欺ネットワークを摘発し、関係資金を押収した。

詐欺グループは偽造IDや架空の企業情報を使い、被害者から資金をだまし取り、USDTに換金して資金洗浄をしていた。この摘発は、仮想通貨業界における信頼と誠実性の回復を目指す司法省の取り組みの一環とされており、サンディエゴ地区のアミール・H・アリ連邦判事が資産の没収命令を発令。司法省、FBIサンディエゴ支局、テザー社が連携して対応にあたった。

テザー社が協力し不正資金を凍結

司法省によると、詐欺に使用されたUSDTは複数の仮想通貨ウォレットに送金されており、テザー社は当局の要請に応じてそれらを特定し、数百万ドル相当の不正資金を迅速に凍結した。

これにより、さらなる流出が防がれ、被害の拡大を食い止めることに成功。同社は「今回の対応は法執行機関と連携し、仮想通貨業界から不正行為を排除する取り組みの一環」と述べ、引き続き監視体制を強化する方針を示した。これまでも複数の事件で当局と協力してきた実績があり、今回もその延長にあると説明している。司法省も、民間企業との協力体制が仮想通貨市場の信頼性を高め、被害者保護につながる重要な要素であると評価した。

被害の実態と米国当局の姿勢

押収された資産は、複数の仮想通貨詐欺スキームに関連しているとされる。詐欺師らは迷惑メッセージや出会い系アプリ、ビジネス系SNSを通じて被害者に接触し、時間をかけて信頼関係を築いた上で、有望な投資案件を装って偽のプラットフォームへ誘導していた。

これらのプラットフォームは実在する投資サイトを模倣しており、被害者は自身で取引所に口座を開設し、銀行口座から仮想通貨を送金。その後、資産は詐欺師が管理するウォレットに移されていた。高い利回りを提示して預金を促したり、一時的に出金を許可して信頼を深めさせる手口も確認されている。最終的には出金が遮断され、被害者との連絡が途絶えるケースが多い。

FBIサンディエゴ現地事務所のステイシー・モイ(Stacey Moy)特別捜査官は、米国でこのような詐欺が引き起こした被害について言及し、次のように述べている。

本日の発表が、被害者に一定の正義をもたらし、FBIが詐欺師の所在地に関わらず責任を問うことを改めて認識させるものとなることを願っています。

また、司法省のジャニーン・フェリス・ピロ(Jeanine Ferris Pirro)連邦検事も「詐欺師の所在地を問わず、責任を追及し、被害者に資産を返還する」と強調した。

ステーブルコインの利便性が高まる一方で、不正利用のリスクも拡大している。今後は、仮想通貨業界全体での透明性向上と規制強化がより一層求められる。

 

ABOUTこの記事をかいた人

2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム