ICO計画を巡る証言で「ほとんどは詐欺」と発言
イーロン・マスク(Elon Musk)氏がOpenAIを相手取った訴訟の証言で、仮想通貨業界の大部分について「中には価値のあるものもあるが、ほとんどは詐欺だ」と述べた。
この発言は、OpenAIが2018年に検討していたICO(Initial Coin Offering:新規暗号資産公開)による資金調達計画を巡る質問の中で示されたもので、同社の過去の資金調達構想と組織構造を巡る対立の中で注目を集めている。
OpenAIのICO計画が法廷で再浮上
今回の訴訟は、マスク氏が2015年に共同設立したOpenAIの使命と組織構造を巡る対立を背景としている。
マスク氏は、OpenAIがマイクロソフトとの提携を通じて商用製品を展開したことで、設立時の合意に違反したと主張している。法廷ではOpenAIについて「慈善事業を盗んだ」と批判した。
一方、OpenAI側はマスク氏が将来的な営利化の可能性を理解していたと反論している。OpenAIはブログ記事の中で、マスク氏がICOを含む資金調達計画を支持していたとも主張しており、2018年に検討された仮想通貨発行案を巡って双方の見解は対立している。
このICO案は、当時非営利団体だったOpenAIの資金調達を支援する手段として検討されたものだった。最終的に実現には至らなかったが、ICOは2010年代後半に仮想通貨プロジェクトの主要な資金調達手段として広がり、多額の投機資金を集める一方で、破綻する案件も相次いでいた。
マスク氏側は、当時のICO案について信用を損なう可能性があるとして否定的だったと主張している。今回の「ほとんどは詐欺」とする発言も、この過去の資金調達計画を巡る文脈の中で示された。
過去の仮想通貨支持とXの金融機能が交差する
マスク氏はこれまで、仮想通貨市場との関わりでも注目されてきた。2021年にはテスラ(Tesla)が15億ドル(約2,359億円)相当のビットコイン(Bitcoin/BTC)を購入し、上場企業によるビットコイン保有の初期事例の一つとなった。また、同氏によるドージコイン(Dogecoin/DOGE)への投稿は、同年の価格上昇にも影響を与えた。
その後、テスラは2022年に保有するビットコインの約75%を売却した。ただし、同社は2026年第1四半期時点で1万1,509BTCを保有しており、マスク氏自身もビットコイン、イーサリアム(Ethereum/ETH)、ドージコインを個人的に保有していることを認めている。
一方で、マスク氏が所有するXでは金融機能の拡張が進む。Xの製品責任者ニキータ・ビア(Nikita Bier)氏は、株式や仮想通貨のティッカーシンボルをクリック可能なリアルタイムチャートや投稿フィードに変換する「Cashtags」のウェブ版を展開していると述べた。この機能には、契約アドレスの照合や初めて仮想通貨を投稿するユーザーのアカウントロックなど、不正トークンを抑制するための制御も含まれる。
OpenAIを巡る裁判は約3週間続く見込みで、マスク氏は経営陣の解任、組織再編の撤回、1,340億ドルを超える損害賠償を求めている。OpenAIが将来的なIPOを準備する中、今回の訴訟では同社のガバナンスと資金調達の在り方も争点となっている。
























