DTCCが114兆ドル資産のトークン化へ、7月試験開始で証券市場のデジタル化進む

DTCCが114兆ドルの資産を対象にトークン化を進めるイメージ、証券とブロックチェーンネットワークを表現

米証券インフラ大手が10月の本格展開に向けて始動

米国の証券保管振替機関であるDTCCは、2026年7月にトークン化された証券の限定取引を開始し、同年10月に本格的な商用サービスを開始する予定だ。

対象は、同社傘下のDTC(デポジトリー・トラスト・カンパニー)が管理する114兆ドル(約1京8,000兆円)超の資産で、米国証券市場の中核インフラがブロックチェーン技術を取り込む取り組みが進んでいる。

既存資産の権利を守りながら証券をデジタル化

DTCCが進めるトークン化は、新たな投機商品を発行するものではなく、既存の証券や債券、ETFなどをブロックチェーン上で扱える形に変換する仕組みである。

対象には、ラッセル1,000指数の構成銘柄、主要指数に連動するETF(上場投資信託)、米国財務省短期証券、中期債、長期債などが含まれる。原資産はDTCの管理下に置かれ、所有権や投資家保護など、従来の保有資産と同様の権利は維持される。

DTCCはこの仕組みによって、既存の市場インフラを土台にしながら、証券の記録や取引にブロックチェーン技術を活用する。SEC(米国証券取引委員会)はこの取り組みに対し、特定の資産を対象とした3年間の運用を認めるノーアクションレターを出している。

DTCCのフランク・ラ・サラ(Frank La Salla)社長兼CEO(最高経営責任者)は、トークン化が市場の仕組みや運営方法を大きく変え、投資家に新たな流動性、透明性、効率性をもたらす可能性があると述べている。

50社超が参加し金融インフラの変化が加速

今回のサービスは、50社以上の金融機関やデジタル資産関連企業で構成される業界ワーキンググループと共同で構築されている。

参加企業には、ブラックロック(BlackRock)、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)、JPモルガン(JPMorgan)などの大手金融機関に加え、サークル(Circle)、オンド・ファイナンス(Ondo Finance)、ファイアブロックス(Fireblocks)、アンカレッジ・デジタル(Anchorage Digital)、ペイワード(Payward)などのデジタル資産関連企業も含まれる。ペイワードは、仮想通貨取引所クラーケン(Kraken)の親会社である。

従来型金融と仮想通貨関連企業の双方が参加していることから、DTCCは両者をつなぐ市場インフラの整備を進めている。実物資産のトークン化市場は約250億ドル(約4兆円)規模に達しており、債券が150億ドル(約2.37兆円)以上で最大のシェアを占める。次いで貴金属が56億ドル(約8,843億円)、プライベートクレジットが26億ドル(約4,106億円)となっている。また、株式市場の規模は8億3,800万ドル(約1,323.5億円)まで拡大している。市場全体は2022年以降成長しているものの、デジタル化可能な従来型証券の規模と比べると、依然として小さい。

ナスダックやNYSE(ニューヨーク証券取引所)もトークン化に関する取り組みを進めており、証券市場におけるブロックチェーン活用は、実験段階から商用化を見据えた段階へ移りつつある。

DTCCの7月の限定取引と10月の本格展開は、既存の証券インフラを維持しながら、金融市場のデジタル化を進める取り組みとなる。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム