米司法省がシルクロードのビットコイン売却を承認
DOJ(米国司法省)は、ダークウェブ市場「シルクロード」から押収した約65億ドル相当のビットコインの売却を正式に承認した。この決定は仮想通貨市場に大きな影響を与える可能性があり、投資家や専門家の間で議論を呼んでいる。
シルクロードは、違法薬物やその他の違法商品が取引されていたダークウェブ上の市場であり、2013年に閉鎖された後、同市場に関連する捜査の一環として、DOJは大量のビットコインを押収した。これらの資産は長らく保管されていたが、今回の売却承認によって市場に放出される可能性が高まっている。
押収ビットコインの規模と行方
押収されたビットコインの総量は69,370BTCで、その評価額は現在の価格で約65億ドルとされている。この売却による収益は、政府の一般予算に組み込まれる予定である。
仮想通貨市場への影響
2025年初頭の仮想通貨市場の11%上昇は、今週突然停止し、5%の急落でその勢いのほとんどが失われた。ビットコイン(Bitcoin/BTC)、イーサリアム(Ethereum/ETH)、リップル(Ripple/XRP)は大幅な下落が見られ、投資家は市場の低迷に悩まされている。
この下落は、DOJがシルクロードのダークネット市場から押収した69,370BTCを売却する計画と同時期に起きた。推定65億ドル(約1兆円)に相当するこのビットコインの蓄えは長い法廷闘争の中心にあったが、その売却のニュースは市場にさらなる不確実性を与えた。
一部のアナリストは、売却が市場への直接的な影響を与えるだけでなく、投資家心理にも悪影響を及ぼす可能性を指摘している。一方で、政府が慎重な売却計画を立てることで、こうしたリスクを軽減できる可能性も示唆されている。
なぜ今売却の承認が下りたのか
DOJの広報担当者によると、資産を売却する決定は、ビットコインの価格変動性と長期間保有した場合の価値損失の懸念から生じたという。米連邦保安官局が売却を監督し、この売却は史上最大の仮想通貨売却の一つになると予想されている。
この決定は、米国最高裁判所がビットコインの押収に異議を唱える控訴を10月に棄却したことを受けて下された。バトルボーン社はまた、情報公開法に基づく請求を利用して、当初ビットコインを引き渡した「個人X」の身元を特定しようとしたが、その試みは失敗し、さらなる法的挑戦も終結した。
売却手法と影響の見通し
政府は通常、没収されたビットコインを米国連邦保安官局に移送し、取引所での直接販売ではなく公開オークションを実施する。この手法は、市場に溢れかえり価格の急落を引き起こすリスクを緩和する目的がある。
DOJは過去にビットコインを売却した実績があり、今回の売却規模にもかかわらず、一部のアナリストは冷静さを保つよう促している。CryptoQuant(クリプトクオント)のキ・ヨンジュ(Ki Young Ju)CEO(最高経営責任者)は次の様に指摘している。
米国政府が売却する65億ドルは、わずか1週間で吸収される可能性がある
ビットコイン価格への直接的な影響と売却決定が引き起こす課題
このニュースに対する市場の反応は即座に現れ、ビットコインの価格は95,000ドルから93,800ドルまで約3%下落し、その後94,300ドル付近で安定した。
アナリストらは、このような大規模な清算が市場に下押し圧力を加え、ビットコインの価格安定性に広範な影響を及ぼす可能性があると懸念している。今回の売却計画に関連して、機会損失についても注目が集まっている。シルクロードから押収されたビットコインが保管されている間、価格は大幅に上昇していた。一部の報告では、これらのビットコインが過去の最高値で売却されていた場合、政府は最大179億ドルの追加利益を得る可能性があったとされている。こうした背景から、政府の資産管理や売却タイミングについて批判的な声も上がっているが、DOJの売却計画が市場の安定性にどのような影響を及ぼすか注目が集まっている。
仮想通貨市場の未来を占う重要な一手
DOJによるシルクロード関連ビットコインの売却計画は、仮想通貨市場における重要なイベントとなる可能性が高い。市場の価格動向や投資家心理に与える影響を慎重に見極める必要があり、政府がどのような売却戦略を採用するかが、ビットコイン市場の未来を占う鍵となるだろう。