ロシア国内でステーブルコインの使用料が急増
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、EU(欧州連合)および米国がロシアの金融機関や個人に対して制裁を課した後、ロシア国内でステーブルコインの使用が増加している事がChainalysis(チェイナリシス)の最新レポートによって判明した。
ステーブルコインは、1月にロシアの仮想通貨取引量の42%を占め、2月には55%、3月には67%と、2022年に入ってから、順調に取引量を伸ばし続け、逆に、ビットコイン(Bitcoin/BTC)、イーサリアム(Ethereum/ETH)やその他のアルトコインの使用は大幅に減少。これは、ロシアがウクライナに侵攻したのとほぼ同時期である。
制裁下での仮想通貨採用の増加
Chainalysisは、東ヨーロッパのマネーロンダリング(資金洗浄)専門家との調査のなかで、この現象の考えられる理由は、企業や個人が資産の価値を守るためにルーブルをステーブルコインと交換していると指摘している。
現在のロシア国内では、より多くの企業が金融取引に仮想通貨を採用している。NEXTMONEYの2022年10月5日付け特集記事「EUヨーロッパ議会が仮想通貨税制に賛成票を投じる」で報じたように、欧州連合はロシアに対する最新の制裁として、ロシアとの間のすべての仮想通貨関連の支払いを全面的に禁止。専門家は、同国内の特定の企業が国境を越えた支払いにこれらの取引を実行し始めていると考えている。この制裁は、ウォレットの金額に関係なく、すべての仮想通貨ウォレット、アカウント、カストディ サービスを禁止した厳しい措置となった。
なお、同専門家は、今後さらにこの傾向が増えていくほか、イランと中国が潜在的な貿易相手国になる可能性があると指摘。中国の通商省が外国貿易に仮想通貨を使用することを正式に許可したことは注目に値する。
SWIFTから除外されるも依然として取引可能な仮想通貨取引所も
2022年6月、ロシアの銀行機関は、以前のEU制裁を受け、SWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication=国際銀行間通信協会)銀行ネットワークから除外されている。
この禁止により、ロシアは国際通商、特に石油などの商品の輸出関連で困難に直面している。この変更により、多くのユーザーが制裁を回避するために未認可などの疑わしい取引所に向かう可能性が浮上。しかし、Bitcoin.comは、EUの禁止にもかかわらず、Binance、Kraken、FTX、Garantex、Huobi Global、Okx、Kucoin、Bybit、Mexc Globalなどの仮想通貨取引所は、ロシアのユーザーに新しい制限を導入していないと報告している。
2022年9月、ロシアの中央銀行が仮想通貨を規制するアプローチを再考しており、国境を越えた支払いのために仮想通貨を合法化することで財務省と合意したことが、地元の報道機関によって報告されている。しかし、ロシアを拠点とする仮想通貨取引所で仮想通貨に投資した他の国の個人の不安も観察。ジョージア、カザフスタン、トルコ、アラブ首長国連邦などの多くの国では、過去数カ月でロシアの仮想通貨サービスへのアクセスが急増している。