オントロジーは中国のOnchain社によって管理・運営されている仮想通貨になります。開発目的は信頼度の高いブロックチェーンの提供、特にセキュリティ面で不安の残るpeer-to-peer(P2P:個人対個人)ネットワークに対しても安心できるブロックチェーンを考案しています。
オントロジーにはいくつか特徴があります。そのひとつがICOを行っていないことです。多くの仮想通貨は開発費の確保のためにICO(イニシャルコインオファリング)を行っています。イーサリアムも2014年にICOを経て一般公開され、今日まで開発され続けている仮想通貨です。
ICOを行う代わりにオントロジーは、エアドロップ(無料配布)を実施することで世間から注目を集めました。エアドロップを実施した仮想通貨は数多くありますが、会員登録や特定仮想通貨の所持などの条件が課せられています。
オントロジーのエアドロップ条件はベース元でもある仮想通貨NEO(ネオ)の所持です。エアドロップ時にはネオは既に知られており、Kucoin(クーコイン)やBinance(バイナンス)といった世界的大手の仮想通貨取引所にも上場を果たしています。
エアドロップでは、ネオの公式ウォレットであるneon walletだけではなくKucoin・Binanceでネオを所持している人に対しても実施しています。これによりオントロジー所持者は一気に増加し、知名度を獲得することに成功しました。今回はエアドロップによって誕生した仮想通貨オントロジーの特徴や詳細について解説します。
目次
オントロジー(Ontology/ONT)の最新価格・相場・チャート・評価
オントロジー(Ontology/ONT)の詳細・特徴とは?|NEOベースのエアドロップした仮想通貨とは?メインネット詳細も解説!
パブリックブロックチェーン
オントロジーの特徴は企業を主な顧客と想定した高性能パブリックブロックチェーンの提供です。
ブロックチェーンというのは細かく分類すると、パブリックブロックチェーン・プライベートブロックチェーン・コンソーシアムブロックチェーンの3種類に分類されます。
ビットコインなど一般的な仮想通貨に使われているブロックチェーンがパブリックブロックチェーンになります。パブリックブロックチェーンの特徴はネットワークを一般公開していることです。そのため承認作業を行うマイナーは、ブロックチェーン開発者とは繋がりがありません。
パブリックブロックチェーンのメリットは改ざんに強いことです。一般公開されたネットワークにより情報が分散管理されており、改ざんするためには世界中のデバイスの過半数に侵略する必要があります。
パブリックブロックチェーンのメリット・デメリット
一方パブリックブロックチェーンには、マイナーに報酬を支払わなければならないというデメリットも抱えています。このようなパブリックブロックチェーンの特徴を生かしてP2Pネットワークでも相手の身分がはっきりしている信頼度の高いインフラ構築を考えています。
通常のインターネットでは、特定のサーバーに収められているクライアントの設定した情報を利用者は閲覧していることになります。このため利用者が一斉に情報を引き出そうとするとサーバーに負担がかかり、最悪サーバーが停止することさえあります。
一方P2Pネットワークでは、サーバーが存在しません。クライアント同士が結びついているためシステム全体が使えなくなるという危険性は大幅に抑えられます。
ビットコインなどに採用されている非中央集権体制もP2Pネットワーク上で成り立っています。ただし、P2Pには大きなデメリットとしてセキュリティ面の不安を抱えています。
クライアントが直接結びつくため相手が悪意を持っていた場合に、ウイルスやマルウェアを送り付けられたり個人データを盗まれたりする可能性があります。信頼度としては高いとは言えないわけです。
そこでオントロジーでは、特別なIDを発行することで身元の特定と管理を行っています。更にデジタル著名技術を使用することで安全にP2Pネットワークが使えるように設定されているわけです。
またブロックチェーンは本来単体での稼動を前提としています。そのためブロックチェーン同士を連結したりブロックチェーン上の記録を統合管理するためには、特殊な仕組みを導入する必要があります。このようなブロックチェーン間の繋がりのサポートもオントロジーは行っています。
開発目的
オントロジーの目的はネットワーク上での信頼性の確保です。ブロックチェーンは改ざんされにくいという特徴があり、現在多くの企業がブロックチェーンの活用方法を模索しています。
仮想通貨に否定的な立場をとっている中国も、ブロックチェーンの性能については認めているほどです。一方でブロックチェーンを含めたP2Pネットワークには、相手が信頼できるかどうかという問題も抱えています。
仮想通貨に関してもマネーロンダリングやテロリストの資金源になる可能性があり、犯罪行為を排除する方法が国際的に議論されているところです。
オントロジーはIDの発行やデジタル著名によって信頼性、ブロックチェーンにより透明性の高いネットワークを維持することが出来ます。
NEOとOntologyの関係性
NEOとの関係性について
オントロジーの管理・運営を行っているOnchain社ですが、CEOであるDa Hongfei氏はNEOの創業者でもあります。2018年5月にはOnchain社とNEOは、戦略・技術面で統合するという覚書を交わしています。
オントロジーの誕生自体もNEOからでした。今でこそオントロジーは独自のプラットフォームであるメインネットで動いていますが、かつてはNEOのプラットフォームであるNep5を使っています。
またコンセンサスアルゴリズムに関してもネオとオントロジーには共通点があります。
オントロジーではコンセンサスアルゴリズムにVBFTを採用しています。このVBFTはNEOで採用されているdBFTの元となるBFT(ビザンティン将軍問題耐性)やイーサリアムが将来的に以降する予定を表明しているPoS、ランダム性と公平性を付与したVRFと3種類を組み合わせたアルゴリズムになります。
またオントロジーの行ったエアドロップでもNEOとの関係の深さを見せています。2018年3月にオントロジーのエアドロップが行われましたが、この時の対象者はNEOの保有者でした。
NEOの評議会もオントロジー全体の10%にあたる数量を保有していることも公表されています。
NEOプラットフォームの仮想通貨
この他の特徴としてオントロジーは、NEOをベースにしてつくられた仮想通貨ということが挙げられます。イーサリアムにも仮想通貨をつくりやすい規格としてERC20・ERC223・ERC721が存在します。
特にREC20のプラットフォームを使った、あるいは使ったことのある仮想通貨やトークンの種類は多く、既に時価総額ランキングでも上位となっているEOS(イオス )も以前はERC20をベースとした仮想通貨でした。他にもTRON(トロン)・VeChain(ヴィチェーン)・OmiseGO(オミセゴー)などもERC20トークンの仮想通貨です。
仮想通貨NEOは、イーサリアムのERC20と同じようにトークン製作を助けるプラットフォーム「Nep5(Neo Enhancement Proposals 5) 」があります。オントロジーはこのNep5を使って誕生した仮想通貨です。
Nep5から生まれた仮想通貨はオントロジー以外にレッドパルス、ディープブレインチェインなどがあります。しかしオントロジーは、2018年7月にNep5から独立しています。その後は独自のプラットフォームとなるオントロジーメインネットへと移行し、ウォレットなども全て独自のプラットフォームへと移行しています。
スマートコントラクト「Smart X」
Ontologyは4月30日、「Smart X」というスマートコントラクトを発表し、利便性の高いスマートコントラクトを実現すること可能としました。
スマートコントラクトとは現在の契約に近い扱いであり、支払いや契約を自動的に約束する機能です。スマートコントラクトの利点は電子上で契約が完了することが挙げられます。
実際の契約であれば契約書を交わしたり捺印したりする必要があります。しかし、スマートコントラクトであればネット上のやりとりだけで契約が完了し、契約書を交わす必要が無いだけではなく、用意する必要もありません。ネット上で完結するため契約のために顔を会わせたり契約書を送付する必要もないのです。
このスマートコントラクトはオントロジー特有の機能というわけではなく、イーサリアムやNEOにもスマートコントラクトは実装されています。
しかし、オントロジーには、独自のスマートコントラクト「SmartX」を導入しています。このスマートコイントラクト「SmartX」の最大の利点は開発言語の増加です。
ETHやNEOのスマートコントラクトと何が違うのか?
現在、スマートコイントラクトの代表格である仮想通貨イーサリアムで使用されているスマートコントラクトは、「Solidity」というプログラミング言語が使われています。このSolidityはJavaやPythonと似ている性質を持っているものの、細かいところは別の言語であり、Solidityの使い方に慣れる必要があります。
一方、オントロジーが採用しているスマートコントラクト「SmartX」ではC#やPythonでの開発が可能になっています。更に将来的にはJava・Rust・Go・JavaScriptなどでも開発できるように対応していく予定です。
これらのプログラミング言語の対応言語が増えることで、これまで仮想通貨やスマートコントラクトに距離を置いていたプログラマーも参加しやすくなり、SmartXは更に使いやすく、オントロジーを購入するユーザーや投資家が増加することにも繋がります。
オントロジー(Ontology/ONT)の評価まとめ
Ontologyの将来性
オントロジーの利点に気付いている企業は、既にオントロジーとの提携を始めています。2018年7月には、中国のモバイルゲーム製作会社であるcocos、2018年8月にはインド映画のストリーミングサービスを提供しているspuulとの提携を発表しました。
多くの仮想通貨は2018年1月あたりから相場が下落していますが、オントロジーは提携の結果もあり2018年1月以降に高騰を見せています。
オントロジーの特徴の中で特に注目を集めているのはブロックチェーン同士の連結による情報共通です。ホワイトペーパーには、患者・医師・病院・薬局の例が挙げられています。現在の日本では実際に患者が医師や病院の下へと訪問して、病院内あるいは病院傍の薬局に処方箋を提出して薬を購入します。
しかし遠隔地など医師の少ない地域では患者は、容易に医師の診断を受けることは出来ません。そこでオントロジーネットワークを通じて身分の確かな医師や病院に遠隔診断を行い、電子処方箋を書いてもらうわけです。
更に電子処方箋を信頼できる薬局へと送付し、薬を購入できるという仕組みになります。このような仕組みの重要性が世間一般にも広く理解され浸透していくと、オントロジーの評価は上がっていくと思われます。
またオントロジーの評価は、オントロジーと提携しているNEOの評価にも直結します。オントロジーの人気が高まれば、NEOの人気も比例して上がっていくでしょう。