現在、世界各国で少しずつではありますが、STOを導入しようという動きが見られます。その中でも注目を集めているのがPolymath(POLY)です。
仮想通貨の資金調達として一般的に使用されるICO(イニシャルコインオファリング)は法的規制の壁が低く、幅広い投資家が参加することが出来ます。しかし、世界各国でICOに対して規制が強化されるなかで誕生したのがSTOです。
STOとは「法律や規制に遵守して投機的なトークンを投資商品として扱う」という意味があり、STOについては次の記事をご覧ください。
ポリーマス(Polymath/POLY)の特徴・詳細とは?
Polymathはイーサリアムのプラットフォームで発行されたERC20トークンです。
プロジェクトとしては、ブロックチェーン上で株式や金融商品の作成、発行を出来るようにし、取引を行えるようにするプラットフォームを作ろうとしています。
つまり、株式や金融商品をトークン化し、ブロックチェーン上でスマートコントラクトを活用して取引を行います。従来のIPO(新規株式公開)に近い形で仮想通貨として発行します。これをSTO(セキュリティトークンオファリング)と呼びます。
セキュリティトークンとして証券扱いになるため、SEC等の各国の機関から承認が必要となります。
Polymathはアメリカに拠点を置いている組織で活動をメインとするデラウェア州、ワイオミング州ではSTOが可能な状態(法的にクリア)であると説明しています。
Polymathでは、トークンの発行者はこのプラットフォームに登録するところから始め、最終的にはKYCの組み込まれたトークンがプラットフォーム上でSTO(セキュリティ・トークン・オファリング)のリストとして公開されます。
この際には法務代理人が発行の手伝いをして、入札を提示し、開発者とともにスマートコントラクトに従ったSTOを作成します。
投資家はプラットフォーム上にあるいくつかのKYCプロバイダから審査してもらいたい人を選んでKYCを行います。既存のICOとは違い、投資する側もICOよりも厳格な審査が行われるため誰もが投資できるわけではありません。(誰もが証券会社に信用取引口座を作れないことに類似しています)
しかし、1度KYC登録を済ませてしまえば、Polymath上のすべてのトークンを購入することが出来ます。
ST-20トークン
ST-20トークンとは、Polymathプラットフォーム内で発行されたトークンのことで、このトークンであるということは、法律等の規制に沿って証券取引として扱われるということになります。
従来のERC20トークンは最低限のルールのみが定められているだけですが、ST-20トークンの場合、合法なルールに沿ってプログラミングされています。トークンの送信時にコイン自体にルールを記録させることができるため、不正な送信を行おうとしても送信ができません。なので、非常にセキュリティ面でも評価が高いです。
デメリットとしては、トークン作成時にルールをコインに記録するため、途中で変更等が基本的にできません。プロジェクトを進めていく側からすると、柔軟性に欠けることになるでしょう。
ベンチャー企業などが「とりあえずICOをする」といったことは難しくなり、プロジェクトの方向性をしっかりと決めてからしかトークン発行が出来ないでしょう。よって、今後ST-20トークンを活用するのは、既存の大手企業や証券会社が投資商品を新たに作る場合に活用されることが予想されます。
考察と見解
STOが世界的に注目を集めつつある中で、Polymathは今後、イーサリアムのような立ち位置になる可能性が高いと思います。
規制強化されている中で、その規制に沿ってプロジェクトを行うことは当然のことであり、規制の緩い国に逃げてプロジェクトを行っても先は短いでしょう。
今後は、株や金融商品と同じように認められる通貨が残っていくと思います。Polymathのように規制に沿ってプロジェクトを進めていくか、バイナンスのように自分たちに優位な規制を自ら作り上げるか、どちらもすごく楽しみではありますが、敵を作らないPolymathのようなプロジェクトは世界的に支持されると考えています。