日本銀行は今年後半に中央銀行のデジタル通貨の実験を開始

日銀が今週にもCBDC実証実験へ

黒田東彦中央銀行総裁(第31代日本銀行総裁)によると、日本銀行は今春、CBDC(中央銀行発行のデジタル通貨)の実験を開始する予定であることを明らかにした。

ロイター通信は本日、日銀(中央銀行)総裁である黒田氏がCBDCを発行するため、銀行は徹底的に準備する必要があると述べたと報じ、今年中にデジタル円をどのように運用するかを実験すると報じた。また、黒田氏はCBDCシステムについて、次のように述べている。

決済システム全体の安定性と効率性を確保する上で、状況の変化に適切に対応するための十分な準備が重要だ。


真向否定からの仮想通貨肯定へと移り変わった日銀総裁の意見

NEXTMONEYの特集記事「日銀の雨宮副総裁、中央銀行のデジタル通貨発行計画を否定」、「日銀・黒田総裁、仮想通貨発行について否定的な見解を示す」 、「日銀・黒田総裁、「日本の独自デジタル通貨に需要はない」」で報じたように、黒田総裁はこれまで仮想通貨に否定的な意見を公にしている。しかし、一転して2020年に入ると、「日銀など6の中銀、デジタル通貨の会合開催へ」で報じたように、
・デジタル社会において中央銀行マネーをどのような形で提供していくべきか
・民間部門の決済サービスをどう改善していくべきか
この2点に要点を絞りった上で、仮想通貨に対して前向きな姿勢へと歩み寄り始めていた。

今回の黒田氏の発表によると、日銀は少なくとも2019年からCBDCを研究しており、開発のペースが加速している他の中央銀行との整合性を維持する決意を表したとのこと。

The Block「APAC – Central Bank Digital Currencies: Design, Policy and Implementation」より動画引用

※動画は全編英語で放映されており、日本語訳が必要な場合は、画面右下に表示されている「字幕」アイコンをクリックした後、「設定」アイコンを開いて、「字幕」⇒「自動翻訳」⇒「日本語」の順に設定することで大まかな日本語訳が表示されます。

一方、2020年7月のTheBlockのウェビナー(ウェブセミナー)で、野村総合研究所の主任研究員は、日銀がCBDCを発行する具体的な計画はないと述べていたが、日銀は昨年10月に、2021年に自国のデジタル通貨の運用方法の実験を開始し、他の中央銀行による急速な民間セクターのイノベーションに追いつくための取り組みに参加すると発表している。

諸外国に追いつくべく実験を推し進める計画の日銀

多くの諸外国ではすでにCBDCの研究や開発、実用化への開発が進められており、特に開発が進んでいる中国では、実用化段階まで開発が進んでいるのが現状だ。

中国は最近、政府主導で開発を進めるブロックチェーンインフラである「BSN」を発表しており、今後5年間でユニバーサル・デジタル決済ネットワーク(UDPN)の開発を進め、複数の国のCBDCをサポートしていく予定も明らかにしている。中国はこれらによって、API接続を通じて銀行、保険、ERP、モバイルアプリケーションなどのあらゆる情報システムで利用可能になり、標準化されたデジタル通貨の送金と決済プロセスが可能になるとのこと。

なお、日銀は、4月から始まる会計年度の初めに、発行や流通など、CBDCの中核となる基本機能の実験の第1段階を実施すると発表している。

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