メッセージアプリWeChat、仮想通貨取引における決済を目的とした利用を禁止
中国で人気のメッセージアプリ「WeChat」は、仮想通貨取引やICOを目的とした同アプリの利用を5月末から禁止するようだ。同アプリの利用規約が4月30日変更され、仮想通貨に関する活動についての条項が修正されたことで明らかとなった。
※WeChatは中国大手IT企業テンセントが運営するメッセージアプリ。同アプリには、モバイル決済機能も付随しており、中国国内では、店舗決済のほか個人間の送金にも利用されている。
これについて、ベンチャーキャピタルPrimitive VenturesのDoveyWan氏は自身のTwitterでOTC取引とWeChatの関係性を示しながら、中国内での仮想通貨の流動性に影響を与える可能性があるといった独自の見解を示している。
Urgh, Wechat just updated its payment policy .. merchant can’t serve any token issuance/fund raising or crypto trading activities, otherwise account will be terminated
Given most OTC transactions are happening in wechat, this may impact local liquidity to quite some extent pic.twitter.com/TdNIO6cggS
— Dovey Wan 🗝 🦖 (@DoveyWan) 2019年5月7日
中国における仮想通貨取引の現状
中国では仮想通貨取引に関して厳しい規制が存在していることは有名だ。
仮想通貨取引所の閉鎖やICOの全面禁止といったように、仮想通貨に対する政府の姿勢は厳しく、今年4月初めに中華人民共和国国家発展改革委員会(NDRC)から発表された「制限及び禁止を望む産業リスト」にマイニングが含まれたことも話題となった。
こうした規制が強まる中国国内では、仮想通貨取引を ”自由に” 行うことができない。そのため、中国国内における仮想通貨取引はOTC取引という形態がとられることが一般的となっている。
※OTC取引とは、店頭取引とも呼ばれ、売買を行う当事者同士が直接取引を行う取引形態であり、大口の取引でも市場価格に影響を及ぼさないという特徴がある。
また、このOTC取引における決済には、WeChatで提供されている決済機能「WeChat Pay」も利用されているようだ。OTC取引の決済にWeChat Pay がどの程度利用されているか等の具体的なことは分かっていないが、WeChat Payでの決済が今後できなくなれば、決済手段としての選択肢が1つ減ることになる。
また、OTC取引において決済に利用されているものは他にもあるようで、5月末以降、他決済サービスへ利用者が流入する可能性も考えられる。
仮想通貨取引に関する規制が続く中でも、中国国内における「中国における仮想通貨に対する関心」は消えていないように感じる。WeChat Payの決定は、中国国内におけるOTC取引に影響を与えることとなるのか。今後の動向にも目が離せない。