米国下院、超党派の支持を得て画期的なFIT21仮想通貨法案を可決

米国下院議会でFIT21仮想通貨法案を可決

米国下院は、ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領とSEC(米国証券取引委員会)ゲーリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長の反対にもかかわらず、仮想通貨資産規制のための「FIT21(Financial Innovation and Technology for the 21st Century Act、日本語訳:21世紀のための金融イノベーションとテクノロジー)法」を承認したことが明らかになった。

FIT21法案は、バイデン大統領とゲンスラー委員長の抵抗に遭いながらも、2023年7月にフレンチ・ヒル(French Hill)下院議員、グレン・「GT」・トンプソン(Glenn “GT” Thompson)下院議員、ダスティ・ジョンソン(Dusty Johnson)下院議員、トム・エマー(Tom Emmer)下院議員、ウォーレン・デビッドソン(Warren Davidson)下院議員が提出したもので、279対136で超党派の勝利を収めた。なお、71人の民主党議員が208人の共和党議員とともに法案に賛成票を投じた事が判明している。

FIT21法は、デジタル資産に対する規制の枠組みを確立することを目的とした重要な法案であるとのこと。下院での採決後、ヒル議員はFIT21について次のように述べている。

今日はアメリカの消費者、投資家、革新者にとって歴史的な日です。FIT21は、消費者と投資家を保護すると同時に、米国をブロックチェーン革新のリーダーとして確保する、デジタル資産のための目的に合った規制の枠組みを構築するものです。この法案は超党派で可決され、消費者保護と米国の技術革新が賛否両派の議員にとって優先事項であることを示した。FIT21は、この種の法案としては米国史上初めて議会を通過した。


FIT21は理路整然とした、思慮深い、超党派の法案

法案を支持した民主党議員の一人であるジョシュ・ゴットハイマー(Josh Gottheimer)下院議員は、この法案を理路整然とした、思慮深い、超党派の法案と呼び、「われわれが協力すれば法制化できる」と主張した。

一方、下院金融委員会の民主党筆頭委員であるマキシン・ウォーターズ(Maxine Waters)議員は、この法案は違法行為を合法化することで報酬を得ようとしていると批判。FIT21は、米国の仮想通貨市場を規制する体制を確立し、消費者保護を定め、CFTC(商品先物取引委員)をデジタル資産の主要な規制当局および証券以外のスポット市場の監視役として設置することを目的としている。

また、法案は仮想通貨トークンを証券とするか商品とするかをより明確に定義しようとしており、採決に先立ち、ホワイトハウスは反対を表明し、法案に拒否権を行使しないと述べた。しかし、ゲンスラー委員長は以前としてFIT21法案に公然と反対。同時に、ホワイトハウスは下院での採決に先立ち法案に反対を表明したものの、仮想通貨に対するバランスの取れた規制の枠組みを確立するために議会と協力する意向を示したとのこと。

マクロ的に見れば、米国は仮想通貨規制の確立において他のグローバルな司法管轄権に後れをとっており、下院がFIT21を承認したことは重要な前進ではあるが、デジタル資産市場の包括的な監視を実施するには程遠いと考えられている。