フィリピン法執行機関が仮想通貨詐欺センターから人身売買被害者を救出
フィリピンの法執行機関は、マニラ・マバラカットの”詐欺工場”から1,000人以上の人身売買被害者が救出されたと発表した。
フィリピン国家警察サイバー犯罪対策チームのミシェル・サビノ(Michelle Sabino)氏は、人身売買被害者は疑いを持たない個人を誘惑するためにフェイスブックなどのソーシャルメディアプラットフォームを利用していたと述べている。同法執行機関は、捜査の結果、人身売買の被害者1,000人以上を救出。当局者らによると、人身売買被害者の多くはベトナム、中国、インドネシア、フィリピン、ネパール、マレーシア、ミャンマー、タイ、台湾の出身であったとのこと。
VOA News (Voice of America:米国国営放送局)の報告によると、人身売買の被害者は、1 日あたり最大 18 時間続くシフト中に仮想通貨詐欺を実行することを強制されていたという。同氏は報告書の中で、人身売買被害者らがフェイスブックなどのソーシャルメディアプラットフォームをどのように利用して疑いを持たない個人を誘惑したかについて説明。被害者自身も雇用の約束に誘惑されたと語ったうえで、次のように語っている。
彼らは高収入の仕事を約束するソーシャルメディアの投稿に誘惑されたが、武装した警備員が立ち退きを阻止するこの敷地内に閉じ込められただけだった。
インドネシアからの密告
フィリピン法執行機関が5月4日(木曜日)と5日(金曜日)、マバラカットの敷地を強制捜査したのは、人身売買被害者の家族からの嘆願が殺到したインドネシア当局からの通報を受けて行われたとのこと。
報告書によると、人身売買の被害者のほとんどは大学を卒業し、ソーシャルメディアのスキルを備えた個人という。Global Anti-Scam Organization(世界的な詐欺対策組織)によると、いわゆるオンライン詐欺工場は、英語と中国語を話す人を好んで雇用するという。一方で、フィリピンの詐欺工場は一般に遠隔地にあると考えられていたが、同国の議会公聴会で、犯罪者が都市部にも詐欺工場を設置していることが明らかになったと指摘。人身売買被害者には身を買い取る機会が与えられることもあるものの、家族に要求された費用を支払う余裕がないため、多くの人が閉じ込められたままであったという。