G20がより厳しい仮想通貨規制へ
世界的な金融の基準設定機関であるFSB(Financial Stability Board=金融安定理事会)によると、G20は仮想通貨市場の大部分は、従来の金融を管理するのと同じ厳しいルールブックに従うべきであるとの見解を示したことが明らかになった。
FSBは2008年の金融メルトダウンをきっかけに、さらなるショックを防ぐために誕生し、ワシントンに集まる先進20カ国の財務相と中央銀行総裁に仮想通貨を抑制する計画を提案すると述べたとのこと。この動きは、SEC(米国証券取引委員会)が仮想通貨に証券規制を課そうとし、EU(欧州連合)がデジタル市場に関する独自のルールを準備する中で、主要仮想通貨取引プラットフォームに非常事態をもたらすことになると考えられている。そのため、FSBのデジタル資産に関する取り組みは、規制を遵守せずにサービスを拡大しようとする仮想通貨取引所や仮想通貨関連企業に冷や水を浴びせるようなものとなるとのこと。計画の最高責任者であるスティーブン・マイジョール(Steven Maijoor)氏は、次のように述べている。
仮想通貨市場における活動の多くは、伝統的な金融システムにおける活動に似ているため、われわれはそのアプローチを取ります。同じ活動、同じリスク、同じ規制が必要です。
仮想通貨市場リスク
2021年11月の高値から約2兆ドル(約292兆円)の市場価値が消失し、企業倒産を引き起こし、数百万人の仮想通貨投資家を無一文にする詐欺事件など仮想通貨関連の問題は後をたたないのが現状だ。
仮想通貨市場内のリスクはまだ抑えられているものの、欧州証券市場庁によると、その状況は急速に変化し、脅威はさまざまな経路から金融市場に波及する可能性がある。実際、規制当局は、投資家の保護措置がないため、銀行やマネーマネージャーが市場に参入する際、仮想通貨市場の変動が従来の金融部門に波及することを懸念している。マイジョール氏はこの件について、仮想通貨が主流になるにつれて金融の安定性を確保するという観点から、4月からFSB内のグローバル規制当局のチームとともに作成してきた勧告案をG20の政策決定者に提示する予定とのこと。
これにより世界各国は、デジタルウォレットのような仮想通貨市場に新たに登場したものについて、新たなルールが必要かどうかを判断する必要があり、それ以外のものは、新規または既存の金融ルールで対応する必要がある。
一方で、ジャネット・イエレン(Janet Yellen)米財務長官が議長を務めるFSOC(Financial Stability Oversight Council=金融安定監視委員会)は、仮想通貨業界はいくつかの分野で抑制する必要があるとの見解を示していることにも注目が集まっている。これにはフェイスブックが世界中の約29億人のソーシャルメディアユーザー向けに導入しようとしていた、グローバルなステーブルコインなども含まれている。