南アメリカ北部に位置するベネズエラの百貨店Traki(トラーキ)は、商品を仮想通貨で購入することができるサービスを開始した。トラーキは南米でも有数の百貨店であり、ベネズエラ国内に約50店舗を展開している。
トラーキで使用することができる仮想通貨は以下の5種類となっている。
- ビットコイン(BTC)
- ビットコイン・キャッシュ(BCH)
- ダッシュ(DASH)
- イーサリアム(ETH)
- ライトコイン(LTC)
ベネズエラでは、デノミネーションが行われるなど、厳しい経済状況が続いており、支払い方法の一つとして仮想通貨を選ぶ国民が増加、仮想通貨決済を受け入れる企業や店も増えてきている。
今回仮想通貨決済サービスを受け入れることとなったトラーキは食品や衣類、装飾品、スポーツ用品などの日用品を取り扱っている。また、商品の価格も他店と比べ大幅に低く設定していることから、多くの国民が利用すると言われている。
掲示板サイトReddit(レディット)を利用しているユーザーの一人であるImVito氏は、レディットのコミュニティによって寄付された日本円で約30000円分のビットコインを使用し学校用品や衣類計884点を購入したという。今回ビットコインで購入された商品はベネズエラの支援を必要としている子供達に届けられ、この取り組みはReal Adoption and Real Helpと題され動画が公開されている。
ベネズエラのインフレ事情
現在ベネズエラでは、史上類を見ない程のインフレ問題が起きている。そのため多くのベネズエラ国民は、ビットコインを初めとする仮想通貨に資産を移行している。Bitcoinistによると、11月1日から7日までの一週間で1075BTCが取引されており、今までの記録を更新したという。また、仮想通貨による支払いを受け付ける店も増加してきているという。
国際通貨基金(IMF)によると、今年の年末までにベネズエラのインフレ率はおよそ1万倍になると言われ、法定通貨が深刻なインフレに直面する国々では、危機的な経済状況により新たな通貨制度が求められることになる。
ベネズエラのメディアによるとベネズエラで仮想通貨を利用して決済を行うことができる店は毎月約200ほど増加しているとされているが、日用品を買うことができる店は多くはない。そのため、ベネズエラでも有数の百貨店であるトラーキが仮想通貨決済の受付を始めたということはベネズエラ国民にとっては大きなニュースとなっているようだ。
また今週日曜日にベネズエラのメディアEl Impulsoは、インフレ問題から国民の資産を守る手立てとして、ビットコインを購入するために車を売却することさえ勧めている。El Impulsoは、ビットコインを使用には、利用者が国外の口座や、他の多数の通貨をキャッシュで所有する必要もないことを強調した。
ベネズエラ国内に約50店舗の百貨店を経営するトラーキは、Crypto(クリプト)という単語をベネズエラの国民に普及させるため、先月から今月にかけてトラーキの公式ツイッターで数十回ものツイートを行っている。