BIS 調査: 世界中の中央銀行の 93% が CBDC の取り組みを検討中

BISはデジタル通貨の知名度上昇とかなりの数のCBDC発行を予想

CBDC(中央銀行発行デジタル通貨)の知名度が高まるにつれ、世界経済ではかなりの数のCBDCが使用されるようになると予想されていることが明らかになった。

BIS(国際決済銀行)は、各国の中央銀行に銀行サービスを提供する国際金融機関であり、金融政策や規制政策を議論する場でもある。スイスに本部を置くBISは、63カ国の中央銀行によって所有されており、世界経済の95%を占めている。BISは最新調査報告書の中で、9つの中央銀行が今後6年以内に金融市場でホールセール利用されるCBDCを発行する可能性が非常に高いとも述べており、調査対象となった86の中央銀行のうち、93%が現在CBDC業務に取り組んでいるという。

バハマ、東カリブ海諸国、ジャマイカ、ナイジェリアは依然としてリテール(※一般向け)CBDCを発行している唯一の国だ。2022年にはいずれも開始されていないものの、調査の著者らは18%の中央銀行が近いうちにリテールCBDCを発行する可能性があると調査で回答していることから、おそらく今後も増えるだろうと述べている。

主要な国・地域がデジタル通貨を真剣に検討

インド、英国、EU(欧州連合)などの主要な国・地域が、自国の不換紙幣のデジタル版の発行を真剣に検討している。

報告書は、CBDCに関する世界的な取り組みは2022年からさらに進展しており、特に銀行口座を持たない人々を支援する方法として注目されている新興国での取り組みが活発化している。また、何らかの形でCBDCの研究開発に従事している中央銀行の割合は、前年の90%から2022年には93%に上昇。中央銀行のCBDC業務がさらに進展し、半数以上の中央銀行が具体的な実験をしているか、CBDCの試験運用に取り組んでいる。

BISの調査によると、デジタル資産の利用が増加するなか、現時点までにステーブルコインやその他の仮想通貨が仮想通貨エコシステム以外の決済に利用されることはほとんどない。そのため、銀行はCBDC採用を促進させ、アカウンタビリティを高めることを期待。さらに同報告書は、この10年の終わりまでに活発化すると予想されるリテールCBDCの高い可能性について言及し、次のように述べている。

発行されれば、リテールCBDCは他の国内決済手段を補完し、共存することが期待できるでしょう。CBDCは、デジタル資産に対する全体的な関心の高まりとともに、世界中の国や機関から大きな注目を集めています。特に、BISはCBDCとその導入について非常に積極的であり、将来的に非常に重要な金融の武器になると予測しています。

BISは2023年3月、イスラエル、ノルウェー、スウェーデンの中央銀行と共同で実施したCBDCクロスボーダー決済モデルのプロジェクト・アイスブレーカーの結果を公表。これにより、同じビジョンを継続。6月にはBISによってCBDCとトークン化された資産のサポートを目的としたグローバル統一台帳の青写真を発表している。