TONネットワークを活用した新サービスで8700万人超の米国ユーザーに対応
メッセージングアプリのテレグラム(Telegram)は、米国ユーザー向けに自己管理型の仮想通貨ウォレット「TON Wallet」を正式に導入した。
これにより、追加アプリのダウンロードや外部ログインを行うことなく、テレグラムアプリ内で直接仮想通貨を管理できる。ウォレットはTOP(The Open Platform)が開発し、テレグラムのインターフェースに統合されており、ステーブルコイン送金、トークン交換、デジタル資産管理に対応する。
新ウォレットの特徴と機能
TON Walletは完全な自己管理型で、ユーザーは自ら秘密鍵を保持する。オンボーディングは分割キーシステムを採用し、片方のキーはテレグラムアカウントに、もう片方はメールアドレスに紐付けられるため、シードフレーズの記憶は不要だ。
ウォレット利用はメッセージ送信と同じくらい容易で、ピアツーピア送金、トークンスワップ、ステーキング、内蔵の市場分析ツールを提供。さらに、Apple PayやGoogle Pay、クレジットカードによる手数料無料のUSDT購入も可能で、これらの機能はMoonPayとの提携によって実現している。
TOPのアンドリュー・ロゴゾフ(Andrew Rogozov)CEO(最高経営責任者)は次のように述べている。
仮想通貨をアドオンではなく、日常のコミュニケーション体験に統合しました。私たちの目標は摩擦を取り除き、暗号資産を生活に溶け込ませることです。
同氏は、2024年には世界で1億件を超えるウォレットが有効化され、今回の米国展開を戦略的な一手と位置付けている。テレグラムは過去にSECの圧力でトークン計画を中止したが、その後もTONブロックチェーンとの統合を継続し、マーケットプレイスやNFT機能を拡充してきた。
米国市場での意義と戦略
米国ローンチはコインベースやCash Appとの競争を意識した動きであるが、テレグラムは金融サービスを直接提供せず、認可パートナーとの協業により規制リスクを回避している点が特徴だ。
ウォレットはテレグラムの「ミニアプリ」と連携し、分散型アプリケーションへのアクセスも可能にすることで、日常利用するチャット環境にDeFi(分散型金融)を統合する。TON財団CEOマックス・クラウン(Max Crown)氏は「この統合は単なる利便性の問題ではなく、人々に経済的自由をもたらす取り組みです」と強調した。今回の導入は、仮想通貨の利用拡大と分散型金融の普及を推進する重要なステップとなる。