PNC銀行、Coinbaseとの提携で900万人の顧客に仮想通貨アクセスを提供
米国の大手金融機関PNC銀行は、仮想通貨取引所コインベース(Coinbase)と戦略的提携を締結した。
今回の提携により、PNCの約900万人の顧客はPNCのプラットフォームを通じて、コインベースのインフラを利用した仮想通貨の売買が可能になる。外部サービスへの資金流出を防ぎ、利便性と安全性を高めることが狙いだ。
Customers of one of the largest banks in the US wanted easier access to crypto.
So we’ve partnered with them to make it happen. @PNCBank clients will soon be able to buy, sell and hold crypto. pic.twitter.com/m801TSXevn
— Coinbase 🛡️ (@coinbase) July 22, 2025
コインベースは公式投稿で次のように発表している。
米国の大手銀行の顧客は、より簡単に仮想通貨へアクセスしたいと望んでいました。そこで、私たちは提携を実現しました。まもなくPNC銀行の顧客は仮想通貨の購入、売却、保有が可能になります
提携の背景と顧客への影響
PNCはコインベースのCaaS(Crypto-as-a-Service)(※1)プラットフォームを統合し、既存の口座ダッシュボード上で仮想通貨の取引をシームレスに提供する計画だ。
企業が自社のサービスに、暗号支払いソリューション、暗号トランザクション処理、取引、ウォレット、決済などの仮想通貨関連の機能を簡単に組み込めるようにするサービスのこと
また、PNCはコインベースに銀行サービスを提供し、相互の協力関係を強化する。PNCの会長兼CEO(最高雄経営責任者)ウィリアム・デムチャック(William Demchak)氏は「コインベースとの提携により、革新的な仮想通貨ソリューションをお客様に提供できる能力がさらに高まります」とコメント。さらに、デムチャック氏は、PNCがステーブルコインの取り組みを主導する業界コンソーシアムに参加する方針を明らかにし、今後の金融サービスにおけるデジタル資産統合の準備が進んでいることを示した。
また、財務管理責任者エマ・ロフタス(Emma Loftus)氏は、「ブランドに沿った安全で利便性の高いサービスを提供し、将来的には法人決済や財務管理での活用も検討する」と語り、仮想通貨を利用した決済が今後さらに広がる可能性に触れた。
PNCは富裕層や資産管理層を中心にサービスを展開し、顧客の利便性を高めると同時に、暗号資産の取引を自社システム内に取り込む戦略を取っている。
業界動向とCoinbaseの役割
この提携は、通貨監督庁(OCC)の規制緩和やステーブルコイン法の成立など、政策面での支援を背景に実現した。
こうした法整備により、JPモルガンやバンク・オブ・アメリカといった大手銀行もデジタル資産の統合を強化している。市場全体では総時価総額が4兆ドル(約586兆円)に迫り、ビットコインは12万2,000ドル(約1,780万円)という史上最高値を更新した。コインベースの機関投資家向け責任者ブレット・テジポール(Brett Tejpaul)氏は「当社のCaaSプラットフォームは、PNCに妥協のないセキュリティと拡張性を提供し、成長著しい市場への参入を支援します」と述べ、同社の役割を強調。
コインベースは従来の銀行がデジタル資産市場にスムーズに参入できるよう支援する立場を確立しており、今回の協業はその戦略の一環だ。この提携は、銀行サービスとデジタル資産の融合を加速させ、顧客体験に大きな変革をもたらすと期待されている。