PNC銀行、Coinbaseと提携し顧客に仮想通貨サービスを提供

PNC銀行の本社ビルを背景に、Coinbaseのロゴを重ねたイメージ

PNC銀行、Coinbaseとの提携で900万人の顧客に仮想通貨アクセスを提供

米国の大手金融機関PNC銀行は、仮想通貨取引所コインベース(Coinbase)と戦略的提携を締結した。

今回の提携により、PNCの約900万人の顧客はPNCのプラットフォームを通じて、コインベースのインフラを利用した仮想通貨の売買が可能になる。外部サービスへの資金流出を防ぎ、利便性と安全性を高めることが狙いだ。

コインベースは公式投稿で次のように発表している。

米国の大手銀行の顧客は、より簡単に仮想通貨へアクセスしたいと望んでいました。そこで、私たちは提携を実現しました。まもなくPNC銀行の顧客は仮想通貨の購入、売却、保有が可能になります

提携の背景と顧客への影響

PNCはコインベースのCaaS(Crypto-as-a-Service)(※1)プラットフォームを統合し、既存の口座ダッシュボード上で仮想通貨の取引をシームレスに提供する計画だ。

(※1)CaaS(Crypto-as-a-Service)とは…
企業が自社のサービスに、暗号支払いソリューション、暗号トランザクション処理、取引、ウォレット、決済などの仮想通貨関連の機能を簡単に組み込めるようにするサービスのこと

また、PNCはコインベースに銀行サービスを提供し、相互の協力関係を強化する。PNCの会長兼CEO(最高雄経営責任者)ウィリアム・デムチャック(William Demchak)氏は「コインベースとの提携により、革新的な仮想通貨ソリューションをお客様に提供できる能力がさらに高まります」とコメント。さらに、デムチャック氏は、PNCがステーブルコインの取り組みを主導する業界コンソーシアムに参加する方針を明らかにし、今後の金融サービスにおけるデジタル資産統合の準備が進んでいることを示した。

また、財務管理責任者エマ・ロフタス(Emma Loftus)氏は、「ブランドに沿った安全で利便性の高いサービスを提供し、将来的には法人決済や財務管理での活用も検討する」と語り、仮想通貨を利用した決済が今後さらに広がる可能性に触れた。

PNCは富裕層や資産管理層を中心にサービスを展開し、顧客の利便性を高めると同時に、暗号資産の取引を自社システム内に取り込む戦略を取っている。

業界動向とCoinbaseの役割

この提携は、通貨監督庁(OCC)の規制緩和やステーブルコイン法の成立など、政策面での支援を背景に実現した。

こうした法整備により、JPモルガンやバンク・オブ・アメリカといった大手銀行もデジタル資産の統合を強化している。市場全体では総時価総額が4兆ドル(約586兆円)に迫り、ビットコインは12万2,000ドル(約1,780万円)という史上最高値を更新した。コインベースの機関投資家向け責任者ブレット・テジポール(Brett Tejpaul)氏は「当社のCaaSプラットフォームは、PNCに妥協のないセキュリティと拡張性を提供し、成長著しい市場への参入を支援します」と述べ、同社の役割を強調。

コインベースは従来の銀行がデジタル資産市場にスムーズに参入できるよう支援する立場を確立しており、今回の協業はその戦略の一環だ。この提携は、銀行サービスとデジタル資産の融合を加速させ、顧客体験に大きな変革をもたらすと期待されている。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム