規制の不透明さを背景に慎重姿勢を強調
韓国のFSC(金融サービス局)は、国内の資産運用会社に対し、仮想通貨関連株やETF(上場投資信託)への投資を抑制するよう勧告した。
今回の動きは、世界的に規制枠組みが確立していない現状を踏まえ、投資家保護を目的とした対応とされる。FSCは、仮想通貨関連銘柄やETFへの過度なエクスポージャーは投資家に不要なリスクを与えると指摘。特に米国を含む主要市場で、仮想通貨ETFに関する明確な法的ルールが整備されていないことを懸念しており、国内市場でも慎重な判断を求めている。
FSSの勧告とETF市場の反応
FSS(金融監督院)は2025年7月23日(水曜日)、コインベース(Coinbase)やマイクロストラテジー(MicroStrategy)など、米国の仮想通貨関連企業への投資を制限するよう資産運用会社に要請した。
この動きは2017年から続く規制方針の再確認であり、韓国の規制対象金融機関は仮想通貨や関連企業を直接保有することが禁止されている。FSSは「新しい規制枠組みが施行されるまでは既存ルールを順守する必要がある」と説明している。
今回の指示は非公式かつ助言的な性質を持つが、特定銘柄を除外できないパッシブETFにとっては対応が難しいという課題がある。
ETF構成と業界の声
韓国市場では、ACE US Stock Bestseller ETFがコインベース株を14.6%組み入れ、KoACT US Nasdaq Growth Company Active ETFはコインベースとマイクロストラテジーを合わせて13.4%保有するなど、仮想通貨関連銘柄への投資が増加している。こうした状況を背景に、業界関係者からは「国内ETFを規制しても投資家は米国ETFを通じてアクセスできる」と規制の実効性に疑問を呈する声も上がっている。
規制緩和への期待と今後の見通し
韓国政府は一方で、スポット型仮想通貨ETFの合法化やウォン建てステーブルコイン導入、デジタル資産市場の枠組み整備を進める方針を示している。
韓国銀行は2026年までにウォン連動型ステーブルコインを発行する計画を発表し、大手銀行も商標出願を進めるなど、機関投資家の関心は高まっている。国内では1,600万人以上が仮想通貨取引口座を保有しており、その数は株式投資家を上回る。
さらに、元大統領夫人キム・ゴンヒ氏への捜査など、仮想通貨業界を巡る動きは市場の透明性確保に向けた議論を一層加速させている。