クラーケン創設者ジェシー・パウエル氏に違法行為の証拠なしで正式に終結
DOJ(米国司法省)とFBI(連邦捜査局)は、クラーケン(Kraken)創業者で元CEO(最高経営責任者)のジェシー・パウエル(Jesse Powell)氏に対する捜査を終了し、押収していた電子機器を返還した。
2022年、当局はロサンゼルスのパウエル氏の自宅を家宅捜索し、複数のデバイスを押収していたが、最終的に連邦法違反の証拠は見つからなかった。
調査の背景と経緯
この捜査はクラーケンの事業とは無関係で、パウエル氏が共同設立した非営利団体「Verge Center for the Arts(ヴァージ・センター・フォー・ジ・アーツ)」に関する内部紛争が発端であった。
疑惑は、同氏が同団体のデジタルアカウントに不正アクセスし、重要なメッセージへのアクセスを遮断したというものだったが、パウエル氏は一貫して容疑を否定していた。2023年にFBIによる家宅捜索が報じられ、注目を集めたが、今回の決定でこの件は終結した。
パウエル氏は、ヴァージの幹部が権力を掌握するために共謀し、自身を排除する計画を立てたと主張し、複数の民事訴訟を提起している。また、押収デバイスには無実を示す証拠が含まれていたと述べており、弁護士のブランドン・フォックス(Brandon Fox)氏は次のようにコメントしている。
今回の決定はパウエル氏とクラーケンの信頼回復に重要だ
政治的背景と規制問題
パウエル氏は自由至上主義的な思想を持つ人物として知られ、2024年には当時の大統領候補ドナルド・トランプ氏に100万ドル(約1.46億円)を寄付していた。
この経歴もあり、一部では捜査の政治的背景に関する懸念が報じられたが、証拠は確認されなかった。パウエル氏は「家宅捜索は個人と事業に大きな打撃だった」と述べ、捜査終了を歓迎している。
クラーケンと規制環境
今回の問題は解決したものの、クラーケンは過去に米国規制当局から複数回罰金を科されている。2023年には制裁違反で36万ドル(約5,280万円)、2024年には未登録証券関連で3,000万ドル(約44億円)の罰金を支払った。今後も業界全体の焦点は規制遵守とコンプライアンス強化に移るとみられる