インド復帰が本格化し市場再参入が進む
コインベース(Coinbase)は規制による停止から2年を経てインドでの事業を再開した。
現在は仮想通貨同士の取引に限定されるが、2026年には法定通貨オンランプの導入を予定している。インドの金融情報ユニット(FIU)への登録を経て、同社は段階的にユーザーへのサービス提供を再開した。
コインベースは早期アクセス期間を経てインドユーザーの登録を再開し、現在は仮想通貨間取引、資産送金、シンプルトレードとアドバンストレードの両インターフェースを利用できる。コインベースウォレット(Coinbase Wallet)での自己管理、NFT(非代替性トークン)取引、分散型アプリケーションの利用も可能だ。
インドブロックチェーンウィークで、アジア太平洋地域ディレクターのジョン・オログレン(John O’Loghlen)氏が2026年に法定通貨オンランプを導入する計画を説明した。銀行口座との連携により、インド国内での利用範囲は拡大が見込まれる。同氏は、かつて数百万人の顧客を抱えたインド事業を“白紙から再構築する”姿勢を示し、規制順守を軸に市場復帰を進める方針を強調した。
主要市場としての存在感を再構築する動きが進む
コインベースはインド政府や業界との連携を強化している。カルナータカ州政府とはWeb3教育と技術支援を目的とした覚書を締結し、現地コミュニティの育成を進めている。
2025年10月には、インド最大級の仮想通貨取引所CoinDCXへの戦略投資も行い、事業基盤を広げた。
税制環境は厳しく、仮想通貨利益に30%課税、全取引に1%の源泉徴収税(TDS)が課されるが、送金需要や若年層の利用を背景に市場拡大が続く。Chainalysis(チェイナリシス)の2025年採用指数ではインドが世界1位となり、草の根での普及が強い推進力となっている。
競合も動きが活発で、バイビット(Bybit)は罰金支払いと規制順守を経て復帰し、バイナンス(Binance)も220万ドル(約3.4億円)の罰金を支払い再参入した。こうした環境の中で、インド市場はコインベースのグローバル戦略において重要性が高まっている。同社は2025年第3四半期に取引収益10億ドル(約1,566.5億円)を記録したが、登録ユーザー3億人を公表したバイナンスとの競争が続き、インド再参入がその競争力強化の一環となる。
段階的な復帰モデルにより、規制当局やユーザーとの関係を丁寧に再構築しながら、市場浸透を進める基盤が整いつつある。























