ジャック・ドーシーのCash App、米国市場への注力のため英国事業を閉鎖

BlockのCash Appが英国での事業を閉鎖へ

ジャック・ドーシー(Jack Dorsey)のBlock(ブロックは、)Cash App(キャッシュ・アプリ)のため、2024年9月15日までに英国での事業を閉鎖することが分かった。

ビットコイン対応のCash Appは、英国で6年間運営してきたBlock Inc.のCash Appは、規制の脅威にさらされる中、英国での事業を終了することを決定した。Blockは、ビットコイン、ビットコインライトニング、マイニングハードウェアの提携と統合に多額の投資をしてきた。決済会社Block製品の一つであるCash Appによる英国市場撤退の決定は、米国への注力を優先し、グローバル展開を後回しにする同社の戦略の一環とのことだ。

Cash AppはP2P送金サービスを提供していたが、米国版と大きく異なる点として、英国版にはビットコイン(Bitcoin/BTC)購入機能が含まれていなかった。米国の顧客がビットコインを購入、販売、送信、受信できるようにするこの機能は、近年ますます人気が高まっており、同社は発表に際して次のように述べている。

このような決定は軽々しく下すものではありません。それが、今日の私たちの地位を築くのを助けてくれた顧客、パートナー、そしてチームメンバーに影響を与えることを承知しているからです。


Cash App、規制のハードルに直面

2024年9月15日、モバイルアプリを通じてユーザーに送金サービスを提供する消費者向け決済プラットフォームCash Appは、英国から撤退する。

この決定は、Cash Appが直面してきた規制のハードルの結果だ。このプラットフォームは、ドーシー氏所有のBlock Inc.傘下で2013年に誕生。最初のローンチから5年後、英国に進出したことにより、この地域はCash Appにとって初の国際市場となったが、規制上の課題に直面。2022年、CFPB(Consumer Financial Protection Bureau:消費者金融保護局)は、Cash Appの苦情や紛争の処理に関する調査のため、Blockを連邦裁判所に提訴。CFPBは、文書やデータの要求のため、Blockの弁護士に何度も連絡を取ったと主張したにもかかわらず、同社はCFPBが提起した6つの具体的な質問に対する文書を提供できなかった。

かつてSquare Inc.(スクエア)社であった同社は、ビットコイン関連のサービスを自社製品に着実に統合してきた。2022年、Cash Appは、より高速で安価な取引を可能にするレイヤー2ソリューションであるライトニングネットワークを介して、米国のユーザーがビットコインを送信できるサービスを開始した。Blockは最近、Squareの技術を使用している店舗が、日々の売上の一部を自動的にビットコインに変換できるようになったと発表。ドーシー氏が率いる同社は、ビットコインマイニングにも多額の投資をしており、特に最近、33nm(3ナノメートル)マイニングASIC(特定用途向け集積回路)初のバッチをCore Scientific(コア・サイエンティフィック)に売却している。

英国でのCash Appの閉鎖は、金融テクノロジー企業がグローバル展開と焦点を絞った市場戦略のバランスを取る上で直面する課題を改めて浮き彫りにしている。Blockは米国市場、特にビットコイン関連サービスで革新を続けているが、英国からの撤退決定は、異なる規制環境下で事業を維持することの難しさをより印象付ける結果となった。