サン氏のファースト・デジタルに対する発言が仮想通貨市場に波紋
TRON創設者ジャスティン・サン(Justin Sun)氏が、ステーブルコインTUSDの準備資産を管理するFirst Digital Trust(※以下、First Digital)について「事実上債務超過に陥っており、顧客資金の償還ができない状態にある」と発言し、業界内に波紋を呼んでいる。
2025年4月2日(水曜日)、サン氏は自身のXで、First Digitalが債務超過状態にあると主張し、「TUSDユーザーは今すぐ行動を起こすべきだ」と警告した。
First Digital Trust (FDT) is effectively insolvent and unable to fulfill client fund redemptions. I strongly recommend that users take immediate action to secure their assets. There are significant loopholes in both the trust licensing process in Hong Kong and the internal risk…
— H.E. Justin Sun 🍌 (@justinsuntron) April 2, 2025
ファーストデジタルトラスト(FDT)は事実上破産しており、顧客資金の償還を履行することができません。利用者は資産を守るために直ちに行動を起こすことを強くお勧めします。香港の信託ライセンスプロセスと金融システムの内部リスク管理の両方に重大な抜け穴があります。規制当局と法執行機関は…
この投稿は現在も確認可能であり、複数のメディアが内容を報道。First Digitalの財務健全性に対する懸念が一気に広まり、TUSDの裏付け資産がリスクにさらされているとの指摘とともに、業界内でユーザーの不安が高まり、さまざまな憶測が飛び交う事態となった。
ファースト・デジタルが全面否定
こうした発言に対し、First Digitalは即座に反論し、「完全に虚偽であり、典型的な中傷キャンペーンだ」と強く非難し、サン氏の主張を「事実に基づかない虚偽情報」と断じ、名誉毀損に該当する可能性があるとして、法的措置を取る意向を示した。
First Digitalは、準備資産は常に監査済みであり、財務状況に問題はないと強調。TUSDや新たなステーブルコイン「FDUSD」の発行主体として、信頼性の確保に努めていると説明している。関係者の一部は、今回の発言の背景にTUSDを巡る資産問題や過去の確執がある可能性を指摘している。サン氏とFirst Digitalは、かつて協力関係にあったとされており、その破綻が両者の対立を深めているとの見方もある。
揺らぐ信頼と浮かび上がる課題
香港の裁判所文書によれば、TUSDが2023年に4億5,600万ドル(約671.7億円)近い準備金を不正な投資で失った際、サン氏が緊急資金を提供し、安定化を図ったとされ、この資金が同社の準備金として機能した可能性があり、今回の騒動の一因と見る向きもある。
TUSDは現在、主要取引所での採用が減少し、流動性や信頼性の低下が課題となっており、今回の一件が信用をさらに損なう事態に発展すれば、ステーブルコイン市場全体への影響も避けられない。今回の対立が一過性の騒動で終わるのか、それともTUSDおよび同社が抱える構造的な課題を露呈したのかは不明だ。しかし、ステーブルコイン市場が今後ますます規制と透明性を求められる中で、今回の事案はその象徴的な一例となり得る。
サン氏の影響力とFirst Digitalの対応次第では、仮想通貨業界全体の信頼性にも波及しかねない。