FinCEN、仮想通貨ウォレットルールのコメント期間を延長

FinCENルールコメント期間猛反発の経緯

FinCEN(Financial Crimes Enforcement Network=米国財務省金融犯罪取締ネットワーク)が、セルフウォレットを介した取引に関連するいわゆる“FinCENルール”案のコメント期間を延長したことが分かった。これまでに数千人規模でFinCENの提案に反対するよう求めていた。

NEXTMONEYの特集記事「米国財務省、仮想通貨ウォレットの規制ルールを検討」で報じたように、FinCENは、自己管理型ウォレットの監視強化を目的に、仮想通貨交換を必要とする規制提案についてコメントを求めていた。しかし、「ホワイトハウスへのXRPオンライン請願書が35,000人を超える」、「プライバシー4団体、FinCENの仮想通貨監視行動の拡散阻止を試みる」で報じたように、オンラインで反対署名に数万人規模のユーザーらが署名したほか、無秩序で急ぎ過ぎるプロセスが主要論点となり、プライバシー保護団体活動を展開する4団体が結束し、仮想通貨取引の監視行動の拡散を阻止するために動き出していた。

FinCENの新ルールとは

2020年12月、FinCENは、変換可能な仮想通貨またはデジタル資産を含む特定の取引の要件を提案した。これがいわゆるFinCENルールと呼ばれている提案である。

同ルールは、銀行や仮想通貨取引所などのマネーサービスビジネスが、3000ドルを超える仮想通貨取引を行う顧客の名前と住所を保存することを義務付けている。対象企業は、セルフホストウォレットを含む10,000ドルを超えるすべての顧客トランザクションも報告する必要があるとしている。

このルールにより、FinCENは、マネーロンダリングに使用される可能性のある仮想通貨業界の規制ギャップを埋めることを目的とした。しかし、同ルールは仮想通貨市場全体からほぼ満場一致の反対に直面し、専門家はそれに対して警告を発する事態にまで動いた。

コインベース(Coinbase)のブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)CEO(最高経営責任者)は、FinCENルールは、仮想通貨の本質である資産の自己管理を妨害する仮想通貨業界に対する存在上の脅威であると述べた。また、他の複数の仮想通貨会社や組織も反対を表明した。

FinCENがコメントに対応し期間を延長

この規則に抗議するために、数千人がFinCENにコメントを提出し、コメント期間の延長を当局に要請。

これに対してFinCENは、2021年1月14日(木曜日)のプレスリリースを通じ、コメント期間を延長することで対応し、次のように語った。

FinCENは、ホストされていないウォレットまたはFinCENによって識別された管轄区域でホストされているウォレットを含む、10,000ドルを超えるCVCまたはLTDAトランザクションに関する情報に関するコメント期間をさらに15日を提供します。FinCENは、銀行とMSBがホストされたウォレットの顧客による取引相手方に関する特定情報報告義務提案、および記録保持要件に関するコメントのために、さらに45日間を提供しています。

FinCENはコメント期間を当初2021年1月4日に設定していたもの、クリスマス急かおよび年末年始急かを挟んた期限だったことから、短期間の間に反対の声が噴出。しかし、コメント期限がひそかに1月4日から7日に変更されており、FinCEN側もこれに関する発表をしていない。これに対しての理由をという声にもFinCEN側は対応しておらず、今回の発表につながった。

今回のFinCENルールコメント期間の延長は、提案された規則を覆すものではないものの、新大統領政権下で再考される可能性があり、市場関係者らも次期バイデン米国大統領による新政権発足後に注目が集まっている。

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