米国議員、FinCEN仮想通貨新ルール変更提案の急プロセスを批判

FinCEN仮想通貨新ルール変更提案に米国議員が動いた

8人の米国議員が、財務長官に手紙を書き、仮想通貨ウォレットKYCルールに関する60日間のコメント期間を求めたことが分かった。

昨年末、NEXTMONEYの「コインベース、仮想通貨ウォレット規制のコメント期間延長を要求」でも触れた様に、FinCEN(Financial Crimes Enforcement Network=米国財務省の金融犯罪取締ネットワーク)から提案された新ルールで、規則が公開されてから15日以内にフィードバックを求めていた件で新たな動きがみられた。

今回新たな動きがみられたのは、米国議会の8人の議員によって、スティーブ・ムニューシン(Steve Mnuchin)財務長官とFinCENのケネス・ブランコ(Kenneth Blanco)ディレクターに書簡を送付。顧客のプライベートウォレットに対して仮想通貨取引所がKYCチェック(※1)を実行することを余儀なくされるFinCEN規則変更案の急すぎるプロセスを警告および批判した。
(※1)KYCチェックとは、AM(アンチマネーロンダリング)、CFT(テロ資金供与対策)をはじめ、安全保障貿易管理や贈収賄防止などのリスク対策として、身元チェックを行うプロセスを指す。

書簡の中で8人の議員らは、ルールの変更は60日間に延長され、米国国民は非常に複雑なルール作成に対応する合理的な機会が与えられていないことに警告と批判をしている。

FinCENが提案する仮想通貨の新たな規制

米国財務省の一部門であるFinCENは、先にも少し触れたが、ホストされていないプライベートウォレットへの仮想通貨取引きに対し、銀行およびマネーサービスビジネスにレポートの提出や記録の保持、顧客の身元確認を要求する新しいルールを提案。

FinCEN側は、新提案について次のように主張している。

(新ルールは)仮想通貨を含む違法な資金調達、国際テロ資金調達、武器の拡散、制裁回避、および国境を越えたマネーロンダリング(資金洗浄)、規制物質、盗難および不正な身分証明書の売買に役立つ

議員の超党派グループは、提案された規則変更がクリスマス休暇の直前に公開され、15日間のレビュー期間では、2つの休暇の8日間のみコメント可能であったため、関係者からは意味のある対応ができないと述べていた。

これらの背景から、書簡を送った8人の議員らは、レビュー期間を60日に延長し、提案されたルールの実装を最大6カ月延長。該当する関係者が最終ルールの実装に必要な技術的ソリューションを開発できるようにすることを提案している。

今回FinCENによって提案された規則の変更は、プライバシー擁護者や仮想通貨コミュニティから広く批判されている。Coinbaseのブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)CEOは、取引所のユーザーに厄介な新規制に反対するよう促す公開書簡を書き、正当な理由なしにプライバシーを大幅に侵害していると主張。

プライバシー擁護団体である電子フロンティア財団(ElectronicFrontier Foundation)も同様に、米国政府が仮想通貨取引の匿名性を損なうための措置をますます講じていることを懸念した。

コインベース、仮想通貨ウォレット規制のコメント期間延長を要求

2020.12.22