ロシア銀行がCBDCの発行を計画か
ロシア銀行(Bank of Russia=ロシア連邦中央銀行)は14日、中央銀行が発表した最新レポートの中で、独自の中央銀行デジタル通貨(CBDC)である「Digital ruble (デジタルルーブル)」を発行する可能性を示唆した。
デジタルルーブルはロシアの法定通貨であるruble (ルーブル)の電子版で、現金を補完すると説明している。銀行は、ユーザーがCBDCにデジタルウォレットを使用し、デジタルルーブル間で「自由に」お金を現金または銀行口座に変換したり、元に戻したりできるようになると述べている。
Chainalysis Blogより画像引用
ロシア銀行は、コロナパンデミックなどの影響を受け、急速に多くの国民がキャッシュレス決済を好むようになったため、デジタル金融テクノロジーの使用が、ロシアやその他の地域で拡大している事を理由に、CBDCを導入したいと考えたと述べている。実際、仮想通貨研究を手掛けるチェイナリシス(Chainalysis)社の調査が示したように、ロシアは東ヨーロッパ地域における仮想通貨採用で、ウクライナ続いて2番目に多い国との調査結果が出ている。
一方でロシアは、プライベートでの仮想通貨の使用に関しては厳格で、2021年以降の支払いに市民が仮想通貨を使用することを許可しない仮想通貨取引とマイニングに関する新しい規制を成立させている。
今月13日、日本を含む先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)でアメリカ、カナダ、日本、ドイツ、フランス、イタリア、イギリスの財務相および中央銀行の幹部などが集まり、管轄区域にCBDCを導入するかどうかについての会議が実施された。このV7会議にはロシアは参加しておらず、この議論の一部には含まれていない。なお、G7では実用化へ急ぐデジタル人民元や、Facebook社のLibraステーブルコインをけん制しており、ロシアが中国同様に開発を急いだ場合、国際社会にとって再び懸念材料が増える恐れもある。
各国が足並みをそろえ、国際社会の中でCBDCをどのような位置づけにするのか、法的な枠組みなどを検討している中、実際に生活する消費者のスピードには追い付いていない感も漂い始めている。
日本でも、10月9日付で日本銀行によって「中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み方針」が発表され、CBDCに対する社会のニーズが急激に高まる可能性もある事を理由に、発行予定はないものの、「一般利用型CBDC」の3段階に分けた実証実験を実施する事を発表している。