EU、仮想通貨関連企業および親クレムリン派インフルエンサーに制裁

EUが仮想通貨関連企業および親クレムリン派インフルエンサーに制裁

EU(欧州連合)は、モルドバの仮想通貨プラットフォームA7と親クレムリン派インフルエンサー、シミオン・ボイコフ(Simeon Boykov)氏に対し、選挙干渉、偽情報拡散、制裁回避の疑いで制裁を科した。

EUは、モルドバの選挙への干渉と国際制裁回避を理由に、仮想通貨プラットフォームA7に制裁を科した。この制裁対象者リストには、親クレムリン派の見解を持ち、偽情報の拡散で告発されているシミオン・ボイコフ氏も含まれており、制裁対象となった両当事者は、A7A5仮想通貨を違法取引に使用した疑いがある。

欧州連合(EU)は、モルドバの仮想通貨プラットフォームA7と親ロシア派のインフルエンサー、シメオン・ボイコフ(Simeon Boykov、※通称「AussieCossack」)氏に対し、同国の選挙への干渉、資金流用、親ロシア的な偽情報の拡散、仮想通貨を用いた国際金融規制の回避を理由に複数の組織に対して制裁を発動。EUの共通外交安全保障政策に基づいた今制裁は、2025年7月15日(火曜日)に発表された決定で、9人の個人と6つの組織に制裁が科された事がわかった。

A7が今制裁の主な標的に

モルドバに拠点を置くA7が、今回の制裁の主な標的となっており、捜査当局は、同プラットフォームが2024年の大統領選挙とEU加盟を問う国民投票への介入において中心的な役割を果たしたとしている。

捜査結果によると、同プラットフォームは有権者への直接的な買収や、デジタルルーブルを裏付けとするルーブル連動ステーブルコイン「A7A5」を通じた違法な金融活動の促進に利用されていた。

ブロックチェーンインテリジェンスプロバイダーTRM LabsのEMEA(※Europe、the Middle East、Africaの略語で、その名の通り、ヨーロッパ、中東、アフリカの事)政策責任者であるイザベラ・チェイス(sabella Chase)氏は、「A7A5は制裁を回避することのみを目的として作成された」と述べている。

制裁対象となったもう一人の人物は、「オーストラリアのコサック」として知られるシミオン・ボイコフ氏で、2024年の米国大統領選挙で「不正があった」と主張する捏造動画を公開するなど、親クレムリン派の偽情報を拡散したとして告発されている人物だ。同じくTRM Labsによると、ボイコフ氏は仮想通貨交換サービス、ダークネットプラットフォーム、正体不明のロシアの取引所を通じて資金提供を受けていたとのこと。

A7A5ステーブルコインは、短期間で総額93億ドル(約1.3兆円)の取引に使用されたと報じられているものの、TRM Labsはこの数字について公式な確認はないと警告したうえで、次の様に述べている。

たとえ数字が印象的だとしても、関与している組織の数は極めて少ないです。他のステーブルコインと比較して、制裁回避を目的としたA7A5の利用は依然として比較的限定的です。


第三者への圧力も

TRM Labsのアナリストは、これらのEU制裁は制裁対象国だけでなく、第三者にも圧力をかけている事を明らかにしている。

企業は現在、A7のようなプラットフォームと提携するか、EUおよび英国市場へのアクセスを維持するかという選択に直面。制裁措置により、これらの企業はA7との関係とEUおよび英国との結びつきを天秤にかけざるを得なくなっている。同アナリストはEUと英国は以前A7に対して同様の制裁を課しており、両国の連携を称賛している。

最近の動きは、西側諸国によるロシアの暗号資産インフラへの取り締まり強化を浮き彫りにしている。

 

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