新経済連盟、ブロックチェーン活用の「国家戦略に向けた提言書」を提出
新経済連盟(以下:新経連)は今月6日、JBAと協力して、ブロックチェーンを活用した「国家戦略に向けた提言書」を提出したことを発表した。新経連とは楽天やサイバーエージェントなど、ITやEコマース業を生業とした企業を中心に2010年に発足された団体であり、テクノロジーから生まれる新たな産業の自由な経済活動を促進することを目的として活動が行われている。
新経連提言内容 20のブロックチェーン活用事例
今回の提言書は、IT担当大臣、関係担当大臣宛に送られており、ブロックチェーンを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現することを骨組みに提案されている。DXとは国が掲げるIT戦略の総称であり、従来の非効率であったレガシーシステムから効率的なシステムに刷新することで大幅な生産性向上や利益の増大を目指す動きである。2025年を目途に国内企業に普及させることを念頭に動いている。レガシーシステムの問題点は下記の通りだ。
- コストが高い。(取引コスト、信用コスト、運用コストなど)
- システムの相互接続・相互運用が困難
- 取引手続きが煩雑
- トラッキングしにくい
提言書の中身は、ブロックチェーンを活用した20個のビジネスモデルが紹介されており、その内容は企業ごとの技術優位性を加味したモデルになっているが、サプライチェーンや環境価値の取引に活用することを想定した企業が多いようだ。
レガシーシステムで成り立つ従来の産業では業界問わず、書類のやり取りや、サプライチェーンごとに使い分けられている基幹統合システムなどが原因で、余計な作業確認や報告プロセスが発生してしまい結果的に作業の細分化が進み、一人当たりの生産性は当然下がってしまう。
これからはバリューチェーン単体で価値を生み出すのではなく、サプライチェーン全体で一つの価値を生み出すことが求められる。その中で一貴通関された分散台帳はセキュリティと相互運用性という面で非常に相性が良く、アウトカムを最大限に生み出すことが可能だ。
コロナショックに対する中国のブロックチェーン活用事例
中国では、ブロックチェーンを国家戦略に組み込み展開していくことを発表しており、コロナウイルスの感染対策として、IT技術を活用した取り組みを行う方針だ。
具体的には、医療、交通、行政などの機関がビックデータをオープン化し、一般企業がこれらのデータを活用できるようなスケーラブルな設計にすることで、感染状況のリアルタイムな情報と、予防に活用できるような仕組みを検討。また、金融領域においては、コロナウイルスの影響によって業績が悪化される中小企業に対して、金融支援を行うことが出来る新しい金融エコシステムを構築しようとしている。
中国をはじめ、海外ではブロックチェーンを国家戦略とした取り組みが盛んに行われており、日本においても、今後予測されるIT人材不足問題やグローバルで不規則に勃発するパンデミック事件などに迅速に対応するため、より官民連携した活動が求められてくるのは明白である。