楽天三木谷氏が代表理事を務める新経済連盟が金融担当大臣宛に「暗号資産の新たな規制に関する要望」を提出

楽天三木谷氏が代表理事を務める新経済連盟が金融担当大臣宛に「暗号資産の新たな規制に関する要望」を提出

本日14日、楽天株式会社の代表取締役会長兼社長である三木谷浩史氏が代表理事を務める一般社団法人「新経済連盟」が、金融担当大臣宛に「暗号資産の新たな規制に関する要望」を提出した。

新経済連盟とは、主に楽天やサイバーエージェントなどインターネットを利用したコンテンツ産業を行う企業が参加する経済団体であり、eビジネスやITについての正しい理解・認識を持った上で政策決定をしてもらうために必要な活動を行っている。

今回提出された要望書は、2019年1月に実施された会員向けのセミナー等を通じて収集された、会員企業からの意見を反映したものだ。
メディア向けに公表されたプレスリリースでは以下のように述べている。

2018年12月21日に公表された金融庁「仮想通貨交換業等に関する研究報告書」では、諸外国に先駆けて、暗号資産をめぐる規制の枠組みが示されました。
新連盟ではこれを大きな意義があるとして評価する一方、暗号資産は技術革新や環境変化がめざましい分野であることから、新たな規制が我が国の金融市場におけるイノベーションの阻害とならないよう柔軟に対応することを要望し、提言をまとめました。

新経済連盟からの提言構成は以下の通りだ。

投資型ICOについて

「第一項有価証券」となる対象の明確化

  • トークン表示権利を一律に「第一項有価証券」と同様に扱うのではなく、権利の移転に制限がかかっているなど、事実上多数の者に流通するとはいえない場合においては「第二項有価証券」と同様に整理することを可能とすべき。
  • 「第一項有価証券」に該当する場合、当該トークンを取り扱うには「第一種金融商品取引業者」の登録が必要となり、参入障壁が高まることから、新技術利活用促進の妨げとならないよう留意すべき。

決済型ICOについて

発行体と交換業者の責任の明確化

  • 交換業者の責任が過大とならないよう留意すべき。
  • 一定の条件を満たす場合は、ICO規制の適用対象外とすべき。
  • ステーブルコインには様々な形態があることを踏まえ、資金決済法上の仮想通貨該当性の線引も含め、トークンの性質を考慮したルール設計をすべき。

カストディ業務について

規制対象となる範囲の明確化

  • カストディ業務は様々な形態のものが存在するため、規制対象となる業務の範囲を明確化すべき
  • 一定の業務についてはリスクに応じた規制、またカストディ規制の適用対象外とすべき。

デリバティブ取引について

第一種金商業による取り扱いの実現

  • 第一種金賞業者が現物仮想通貨の引き渡しを伴わない、仮想通貨デリバティブ取引を取り扱う場合には、仮想通貨交換業としての登録を経ることなく第一種金商業の範囲内の業務として行うことができることとすべき。

その他(税制について)

申告分離税や損益通算等の適用

暗号資産の市場拡大のイノベーションを後押しする観点から、税制が暗号資産投資への阻害要因とならないようにするため、以下のような措置を検討すべき。

  1. 総合課税から、申告分離課税への変更(税率は株やFXと同様に20%とする)
  2. 仮想通貨間の交換は非課税とする
  3. 損益通算や損失の繰越控除を可能とする

勢いを増す民間からの声

新経済連盟は2010年にグリー、ミクシィ、サイバーエージェント、TBS、日本オラクルなど1665社が参加し、「eビジネス推進連合会」として発足した。
そして2012年6月に「新経済連盟」に改称し、2018年10月時点での会員企業は556社となっている。

2013年に開催された「新経済サミット2013」には安倍晋三首相も参加するなど政界とのつながりも深く、今回の提言にも大きな期待が寄せられている。

日本経済の中枢を担う企業連盟が、政府に直接提言する意義は大きく、仮想通貨業界のさらなる発展の阻害とならないような規制改革が望まれる。