偽ビットコインETFニュース投稿反に米国政府が司法取引か
米国政府は、SEC(米国証券取引委員会)のXアカウントを標的にしたハッカーの司法取引を準備している事が大手メディアブルームバーグの報道によって分かった。
同容疑者はSECのXアカウントをハッキングしたグループの一員であり、委員会が初めてスポットビットコインETF(上場投資信託)を正式に承認したと主張する偽ニュースを投稿して仮想通貨の価格を急騰させた。米当局によると、同容疑者が参加していたとされるグループは、SIMスワップ攻撃を通じてSECのXアカウントを乗っ取った。Xの安全チームは、SECのアカウントで2要素認証が有効になっていなかったことが侵害につながったと報告し、SECも後にこれを認めている。
また、偽のニュース投稿発覚後、同機関はすぐにこの投稿を削除し、でっちあげだと説明。ブルームバーグによると、計画されている司法取引はエイミー・バーマン・ジャクソン(Amy Berman Jackson)米連邦地方判事に伝えられたが、政府は司法取引が受け入れられるかどうか確信が持てないという。また、起訴されたエリック・カウンシル・ジュニア(Eric Council Jr.)容疑者は、ワシントンDCの法廷で無罪を主張。検察はSECのXアカウントへの不正アクセスを手助けしたとされる同容疑者に取引を提案するとのことだ。
先週、FBIが容疑者を逮捕
FBI(連邦捜査局)は、アラバマ州出身のSECのXアカウントハッキング容疑者であるエリック・カウンシル・ジュニアの捜索を主導。
米・連邦検事局の声明によると、カウンシルは「SIMスワッピング」ハッキングで逮捕。同局はさらに、ハッキングとフェイクニュースの共有がビットコイン(Bitcoin/BTC)やその他の仮想通貨の価格に影響を与えているという。SECはFBIの取り組みを称賛し、説明責任の名の下に容疑者の追及に協力した当局に感謝。検察は、容疑者がSECのソーシャルメディアアカウントのハッキングに共謀していると主張している。容疑者は被害者の携帯電話を新しいデバイスに交換し、それを使ってフェイクニュースを投稿・共有するよう指示されたと報じられている。
Xのハッキングによる投稿がビットコイン価格を押し上げる
米国政府によると、フェイクニュースの投稿はビットコインの価格と市場活動に直接影響を与えており、投稿直後には1BTCあたり1,000ドル(約15万円)上昇している。
ハッキングはSECがビットコインETFの取引を許可すると公式発表する数日前に発生。当局がアカウントへのアクセスを取り戻すと、すぐに偽投稿を却下し、ビットコインと仮想通貨の価格は即座に反応。SECの説明後、市場センチメントは荒れ、BTC価格は数分で少なくとも2,000ドル(約30万円)下落した。
評議会は司法取引を受けるのか
10月25日、ケビン・ローゼンバーグ米連邦検事がジャクソン地方判事に司法取引の申し出を確認したことで、司法取引の可能性が浮上した。
米・政府検察官は評議会がこの申し出を受け入れるかどうかまだ確信が持てない。なお、裁判所の文書によると、容疑者は悪質な個人情報窃盗やデバイス詐欺の共謀を含む複数の罪に問われており、容疑者はハッキング完了の見返りにビットコインを受け取ったとの報道もある。