米FRB理事、「リブラなどのステーブルコインは消費者を危険さらす」
2019年12月18日、米連邦準備制度理事会のLael Brainard理事はフランクフルトで開催された中央銀行会議にて講演を行い、「フェイスブックのステーブルコイン・リブラを際立たせているのは、世界人口の約1/3を占めるアクティブユーザーネットワークと、主要通貨に“不透明に”結び付けられたプライベートデジタル通貨の組み合わせだ」「十分な保護手段がなければ、世界規模のステーブルコインネットワークは消費者を危険に晒す可能性がある」と語った。
Brainard氏は、すでに発行されている小規模なステーブルコインのリスクよりも、ソーシャルメディアの巨人フェイスブックが関わるリブラのリスクは比較にならないほど大きなものとしている。リブラが発行された場合、従来の銀行が提供するサービスなどに慣れた消費者にリスクが及ぶとして、国際送金システムが根本的に変わることを危惧しているようだ。
さらには仮想通貨としての明確な特徴が明らかになるまで、リブラの正確なリスクレベルは不明だと強調した。仮想通貨はすでに金融システムに多くのリスクをもたらしており、このリスクはステーブルコインによって拡大する可能性があるとも語っている。
仮想通貨のリスクを強調
Brainard氏は消費者の金融セキュリティに関するリスクを懸念。仮想通貨関連の詐欺と盗難(ハッキングなど)による被害額は、2019年には44億ドル(約4,821億円)にもなるとして、巨額の損失を強調した。リブラに対しては、ステーブルコインの原資産に対する権利を保有していないとして、消費者の価格リスクについても不安視している。
米国での銀行口座の法的および規制上の保護によって消費者の預金は限度額まで保証されることが望ましいが、米国市民に対してリブラが保証できるか否か疑問だとしている。また中国の名を挙げることはなかったが、外国の中央銀行が発行するデジタル通貨の広範囲な流通が、小国の金融政策に影響を与えることも懸念。
中央銀行のデジタル通貨(CBDC)が代替案
より安全な代替案としてCBDCを検討することが望ましいとBrainard氏は述べた。デジタル通貨の一連の問題解決策にはまず、従来の金融システムの根本的な変革は行わず、法定通貨に基づく即時決済をデジタル通貨で行える安全性とメリットを提供できるかどうかにあると語った。しかし厳しすぎる規制をクリアするのは現状困難であるため、米国のCBDCはまだ先の話になりそうだ。