「フェイスブック仮想通貨は、他の仮想通貨の誕生を促進する可能性がある」=CEPR
2019年10月25日、リブラが規制当局によって承認されなくても、別のデジタル通貨(仮想通貨)が開発される可能性が高くなっていると、経済政策研究センター(CEPR)所長ベアトリス・ヴェダー・ディ・マウロ氏がCNBCのインタビューで語った。マウロ氏によれば「リブラが中央銀行にとって脅威的である理由は、世界的なネットワーク決済として急速に発展し、(法定通貨を差し置いて)グローバル通貨になり得るからだ」としている。
Featured on @CNBC Beatrice Weder di Mauro, President of #CEPR, discusses why Facebook's #Libra currency is likely to be blocked, yet other digital currencies may well be created: https://t.co/JJw06xfhzb
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マウロ氏は政府や国際機関、中央銀行などでコンサルタントを務めた経歴があり、豊富な経験から「リブラはおそらく許可されない」と予想。民間企業であるフェイスブックやリブラが行ったことは『リブラが発行されると、現在のグローバル通貨が弱体化する』というインパクトを中央銀行コミュニティへに与え、揺さぶりをかけたことだと述べた。
リブラが徹底的に規制当局に拒否されることは、マウロ氏によれば『リブラに似た何か』の準備ができていることを意味するのだという。リブラがローンチされ、中央銀行が脅威に晒されるくらいなら、自らが結束して独自のグローバル通貨を発行するべきという考えのようだ。今後のリブラの開発の進捗状況によっては、結束した中央銀行による独自仮想通貨あるいは独自デジタル通貨の構想が一層進む可能性もある。重ねてマウロ氏は、もしそうなったら、ドルが支配している現状よりも有利なシステムになることを示せるとしている。
『リブラに似た何か』はSHCか?
英国イングランド銀行(中央銀行)総裁マーク・カーニー氏の「通貨覇権の入れ替えを行うなら、米ドルをデジタル通貨(仮想通貨)に変えるべき」という意見にマウロ氏は賛同している。カーニー氏はこのデジタル通貨を「Synthetic Hegemonic Currency(SHC)」と呼んでいる。
今月17日、日経新聞のインタビューに応じたカーニー氏は、英国中央銀行が仮想通貨を含むデジタル通貨に対して前向きな姿勢を取っていることを明かした。デジタル通貨などは、国内外の決済機能を改善させ、コストを減らし、個人や中小企業に恩恵をもたらすと受け止められているようだ。そしてブロックチェーンといった新技術を正しく使うため、それを理解するため、中央銀行も資源を投入して向き合う必要があると語った。
カーニー氏はリブラが必ずしも中央銀行に拒絶されるとは思っていないようで、厳格な基準さえ満たせば、むしろ排除されべきではないと語った。