SEC、テレグラム元アドバイザーへ「証言要求」
米国証券取引委員会(以下:SEC)がテレグラムの元アドバイザージョン・ハイマン氏に対して証言を要求している。ニューヨーク州南部地区の米国地方裁判所にSECが提出した文書から明らかとなった。
ハイマン氏はモルガン・スタンレーおよびルネッサンス・キャピタルの元投資銀行家。提出された文書によれば、SECは英国およびウェールズ高等裁判所に対して、ハイマン氏の証言と文書を入手するよう求めている。
テレグラムの独自デジタル通貨について
テレグラムはTON(Telegram Open Network)を立ち上げ、独自発行のトークン「グラム」のICOを2018年に行った。グラムは国内取引所のリキッドが独占販売をすることでも話題を集めた。SECは10月に緊急声明を出し、グラムが未登録の有価証券に該当すると発表した。しかし、テレグラム側はこの主張を拒否し続けている。SECによれば、ハイマン氏はグラムのICOに密接に関与しているとのこと。また、ICOに際して12以上の投資家と購入の詳細や最新情報などを提供するコミュニケーションを取っていたとして、ハイマン氏の証言を求めている。
SECの資料によると、ハイマン氏は規制上の理由で直接公募はしない旨を電子メールにて投資家へ明かしている。また、2018年5月にGoogle VenturesのBlake Byersにメールを送信しており、3回目のプライベートラウンドがあることを伝えている。また、ハイマン氏が2回目のラウンド終了後から生まれたグレーな流通市場にも関与しているとSECは指摘している。グラムは価値減少を最小限に止めるため一定期間投資家が売却できない仕組みが採用されていたが、実際にはコインデスクが報じたように、OTCディーラーなどを通じて一部売買が行われていたとのこと。また、SECの資料によると、テレグラムのCEOであるPavel Durov氏と投資家の電子メールのやり取りも記録されている。
ICOと証券の問題
2017年に大きな盛り上がりを見せたICOの市場だが、2019年現在ではトークン販売量も90%以上減少している。そんな中でも、テレグラムのグラムは、企業としてのステータスもあり、市場が低迷する中でも大きな成功を収めたICOとなった。
一方で、SECが目安として公表したガイドラインに基づくと、ICOで発行されたトークンに関しては、そのほとんどが証券とみなされる可能性を持っている。テレグラムを含めて、資金集めに成功したプロジェクトは今後さらに劣勢に追い込まれそうだ。