テレグラム、SECが主張する「違法なICO」の訴訟取り下げを要請
2019年11月12日、メッセージアプリ会社テレグラムは、米国の裁判所に対し、証券取引取引委員会(SEC)の訴訟を取り下げるよう要請した。米国ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所にて、SECはテレグラムの未発売のトークンGramはセキュリティトークン(株や債券と同様の有価証券)であると主張。
これに対し、テレグラムの弁護士は「原告は法律のこの新生分野で不適切な『執行による規制』を行っており、どの行為が連邦証券法の違法にあたるのかについての明確なガイダンスとその見解の公正な通知を提供できなかった」と主張している。
GramがセキュリティトークンならSECの承認が必要となり、未承認のままICOを行えば米国では違法になる。しかしテレグラムは連邦証券法に照らし合わせて登録する必要がなかったため、ICO時にSECに登録をしなかったのだと反論している。
直近の経緯
SECは10月11日、ICOで不正販売されたとするGramが市場に出回ることを何としても阻止したかったため、テレグラムグループとその子会社による17億ドルの資金調達は違法であるとしてTONブロックチェーンの緊急停止命令を出した。これにより、10月31日発行される予定だったGramのローンチは中止に。
テレグラムは10月23日に投資家による投票を行った。2019年10月31日までにTONが稼働していない場合は投資家に資金を返金することを約束していたためだ。結果、投資家の支持を受けて「来年4月31日のローンチ」を目指しプロジェクト続行が決定した。
テレグラムは11月1日にTONのテストネット用のデスクトップウォレットをリリース。ユーザーはテスト用のGramを受け取ることが可能。SECが訴訟を起こした後、テレグラムはGramの販売や発行を行わないことにどうしていてるためだ。
今後の展開
今年10月24日に予定されていた聴聞会は来年2月18~19日に地方裁判所によって延期。テレグラムはこの延期を前向きにとらえている。
テレグラムのホワイトペーパーにはGramはステーブルコインであるとの記載はないが、Gramは通貨や商品として流通させることが目的であってセキュリティトークンには該当しないと主張している。また、現時点でトークンがまだ作成されていない点も挙げ、連邦証券法に基づく証券ではないと訴えた。
これら主張を裏付けるだけの資料が来年2月までに用意できるか否かに注目したい。
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