フランス銀行は2020年、独自デジタル通貨をテスト
フランス銀行がデジタル通貨の発行に乗り出す。ニュースサイトAFPによると、中央銀行であるフランス銀行は2020年の1月から3月までの期間を目指し、デジタル通貨の試験運用を行うようだ。プルデンシャル監督および解決機関であるACPR(健全性監督機構)が主催したカンファレンスにおいて、フランス銀行のFrançois Villeroy de Galhau総裁が明らかにした。
AFPは「2020年の第1四半期までに、フランス銀行がプロジェクトを稼働させる」と報告している。Villeroy de Galhau総裁は、フランスはデジタル通貨の革新に貢献することに熱心に取り組んでいるとのこと。一方で、その実験を真剣かつ整然として行う必要があると警告もしている。
このニュースは、欧州連合の会議においてフランスのブルーノルメア経済財務大臣がパブリックなデジタル通貨の必要性を強調したすぐ後に出たものであるため、フランスが国を挙げてデジタル通貨の発行に本格的に乗り出す意向があることが伺える。ブルーノルメア大臣は以前フェイスブックのリブラに対して懸念を表明しており、違法行為に繋がる可能性があるプロジェクトはすべて排除する意向を示している。
各国が「デジタル通貨」の発行に躍起になる理由
デジタル通貨の発行を目指しているのは、フランス銀行だけではない。中国の中央銀行にあたる中国人民銀行も、デジタル通貨の準備は「ほとんど完了している」と今年8月に報告している。ここ最近では、こうした国によるデジタル通貨を検討しているというニュースが非常に多い。いっぽう、各国がデジタル通貨の発行にこれほど躍起になっているのはなぜか、気になる人も多いだろう。
たとえば、南米のベネズエラでは政府が独自発行したデジタル通貨ペトロが流通している。自国の法定通貨がハイパーインフレーションで機能しなくなっていることから、解決策としてデジタル通貨を発行した次第だ。一方、フランスや中国ではベネズエラのような通貨危機は発生していない。いわゆる先進国の政府がデジタル通貨を発行したい理由は、それによって享受できるメリットが大きいからに他ならない。
デジタル通貨が発行されれば、通貨自体の流動性の大幅な向上が見込める。経済活動が促進されることはもちろん、取引記録はすべてブロックチェーンで記録されるため、税制面の管理や業務効率化による政府支出の削減も可能となり、そのメリットは非常に大きい。いっぽうで、システム上のトラブルが起これば、国を支える法定通貨だけにそのダメージは深刻だ。そのため、Villeroy de Galhau総裁が実証実験の重要性を強調したのだろう。