クジラが保有する仮想通貨が公開
仮想通貨の所有が集中することは、驚くべきことではない。分散型のシステムであっても、多くの富が集中することはよくあることだからだ。ブロックチェーンに関する情報提供を行うInto The Blockは、代表的なアルトコインのクジラ(大口の投資家)のアカウント数と保有率を公開した。
- イーサリアム(ETH):151のアドレスが供給の約39%を保有
- ビットコインキャッシュ(BCH):112のアドレスが供給の約29%を保有
- ライトコイン(LTC):131のアドレスが供給の約47%を保有
- ビットコインSV(BSV):103のアドレスが供給の約24%を保有
- カルダノ(ADA) :41アドレスが供給の約39%を保有
- テザー(USDT) :132アドレスが供給の約63%を保有
この調査結果で特に驚くべき点は、ライトコインとテザーの保有率だ。ライトコインは半分にあたる、約47%もの供給を一部の投資家が保有している。テザーに至っては、約63%もの供給が一部の投資家に占有されていることになる。
これが何を意味するのか?
保有率がわかったところで、何の問題があるのか疑問に感じる人もいるだろう。確かに、ビットコインキャッシュのような仮想通貨を使用している場合には、保有率はさして問題にならない。なぜなら、ビットコインキャッシュのような仮想通貨には、ガバナンスモデルがないからだ。いっぽうで、イーサリアムやカルダノの場合、富の集中はエコシステムに影響をもたらす可能性が出てくる。場合によっては、コミュニティ全体の意思決定に大きな影響を与える可能性がある。
つまり、資産の集中がもたらす影響は、その仮想通貨のエコシステムに依存する。一部に資産が集中することで、ガバナンスが機能しなくならる可能性も出てくる。これは、開発者がガバナンスモデルを構築する際に、留意すべきことに他ならない。法定通貨の世界でも、資産の集中は問題視されており、仮想通貨を同じ事態に陥らせるのは良くないことだ。つまり、この事実は今後の仮想通貨全体に影響する、議論の対象となるべき重要なテーマであるといえる。