中国デジタル通貨は「情報を完全に制御せず、取引に必要な匿名性を提供する」=中国人民銀行
中国人民銀行(PBoC)の決済局元次官である穆長春氏は12日、中国の国家デジタル通貨(DCEP)について、「人々の情報を完全に制御するのではなく、取引に必要な匿名性を提供する」と述べていることが、ロイター通信の報道で明らかになった。
シンガポールにて開催されたイベントで登壇した際、穆長春氏は世界中で話題となっている中国の独自仮想通貨について、人々が求める通貨を供給すると共に、デジタル通貨が犯罪に使用されるデメリットについても次のように説明した。
「一般市民からの要求は、紙幣と硬貨を使用して匿名性を維持することだということを知っています。取引で匿名性を要求する人々に提供します。
同時に、制御可能な匿名性とマネーロンダリング防止、CTF(テロ対策)、税金問題、オンラインギャンブル、電子的な犯罪行為など、私たちが維持しなければならないバランスであり、それが私たちの目標です。私たちは、一般の人々の情報の完全な管理を求めていません。」
中国の仮想通貨についての構想は、今年から世界各国が注目し始めた。穆長春氏は現在、独自の仮想通貨の発行において、計画の責任者として活動している。そのため今回の発言は、独自の仮想通貨が次の構想段階にあり、既に国民がデジタル通貨をよりよく使用できるよう構想している段階まで来ていることが分かる。
匿名性を重視した仮想通貨は、どうなるのか?
しかし匿名性を重視したデジタル通貨として発行されるかは、決定した訳ではない。今年10月、政府系研究機関・中国国際経済交流センター(CIEE)副理事長である黄奇帆氏は、上海で行われた金融会議Bund Summitにて、PBOCから商業銀行に発行され、そこから顧客(市民)に行き渡る2層構造のDCEPは、まず始めに商業銀行でテストされると説明。
そのため、中国人民銀行(PBoC)が中国デジタル通貨での情報を収集しない場合でも、自然と顧客データは商業銀行で保管される形となる。しかし、今回の穆長春氏による発言はあくまでも「取引情報(トランザクション)」という観点である。
デジタル通貨を使用する場合、「匿名性」と「管理」の境界線をどのように区別するのか、国家レベルのデジタル通貨の発行には、まだまだ構想の余地がありそうだ。
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